北センチネル島の米宣教師殺害事件 | kyupinの日記 気が向けば更新

北センチネル島の米宣教師殺害事件

 

 

最近、インド洋の北センチネル島という現代文明から取り残された島で、原住民によりアメリカ人が殺害される事件が起こった。この北センチネル島はインド洋の東、ベンガル湾にある。絶海の孤島ではなく、アンダマン諸島の西30㎞に位置している。

 

この島には数千年、現代文明から隔絶され、未だに石器時代の生活を送る人たちが住んでいる。彼らの人数は50名からせいぜい400名ほどとかなり少ない。言語はあるが、周囲のアンダマン諸島の人たちとはかなり異なっていると言う。北センチネル島は72km2と小さい島ではあるが、極端に小さいと言うほどでない。正方形に近い島なので1辺が8.5㎞の形状と考えると広さが想像できる。

 

彼らを見ると、ある程度の人口規模がないとイノベーションが起こらなくなるのがよくわかる。風の谷のナウシカでは核戦争後、僅かに生き残った人たちを描いているが、彼らも新しい技術は生み出せず、古いものをなんとか修理して生活していた。

 

北センチネル島の人たちは、島外から来る人に弓矢を射るなど威嚇行為がみられ、一切の交流を拒否していた。1991年頃まではインド政府もなんとか交流を試みていたが、1度島外に連れ出した老人2名が感染症に罹患し亡くなった事件以降、1996年頃から、彼らを隔絶したままにしておく方針に転換している。現在は島に近付くこと自体が違法である。

 

今回殺害されたアメリカ人は宣教師であるが、違法行為でも、なんとか彼らにキリスト教を布教したかったようである。現在、殺害された宣教師の遺体を収容することも難しいと言う。

 

北センチネル島に住む人々は医学的に、あるいはオカルト的にも非常に興味深い。例えば、彼らは数千年間、隔絶されていたので、免疫獲得の視点で非常に脆弱と思われること。実際、島外に連れ出した老人2名は次第に弱り亡くなっている。彼らは、現代社会のたいていの人たちが持つ免疫抗体をほとんど持っていない。

 

北センチネル島の人口統計は不明だが、島の大きさや得られる食料の規模などから、著しく人口増加した時代はなかったのではないかと思う。また、実際に人口50400名だとすると、感染症が流行れば全島民が絶滅しかねないサイズである。それが不思議なことに数千年間、絶滅しないでいる。また人口の規模から、島民はほとんどが親戚同士と言ってよく、彼らのDNAは非常に似ているのではないかと思う。このようなことも絶滅しかねないリスクである。

 

また彼らに精神病があるのかも非常に興味深い。精神病はストレス以外の要因で発症するので、数千年単位ではなくはないだろうが、どのような病型なのかも興味がある。

 

また、彼らにはかつてのホモサピエンスが持っていたが、今は失ってしまった能力があるような気がしてならない。

 

彼らの住居は海岸沿いにあり原始的な造りになっているようである。食事はココナッツなどの植物、動物、昆虫、魚などを採って生活しているようだが、農作物は作らない。センチネル島の標高は高い場所でも100メートルまではいかないという。

 

2004年のスマトラ島沖地震では、このような住居だと津波で全滅してもおかしくないが、難を逃れ、それどころか救援物資を運んできたヘリコプターに弓矢を放っている。彼らは津波が予期できたように思われるのである。

 

彼らが島外からくる人たちに著しく攻撃的なのは、部外者と交流により感染症が蔓延し、絶滅の危機に瀕することがわかっているからであろう。

 

彼らの攻撃性は、おそらく現代の人たちが失ったヒトの本能に由来するものだろう。