エビリファイの少量追加について思うこと
エビリファイはうつ病の治療の際に少量追加が認められている。以下は添付文書から。
うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)
通常、成人にはアリピプラゾールとして3mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、増量幅は1日量として3mgとし、1日量は15mgを超えないこと。
また使用上の注意として、
本剤は選択的セロトニン再取り込み阻害剤又はセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤等と併用すること。(うつ病・うつ状態に対して本剤単独投与での有効性は確認されていない。
上のように、エビリファイはうつ病、うつ状態に単独投与できず抗うつ剤と併用するのが原則である。また、うつ病に使ったとしても、向精神薬処方制限では抗精神病薬1剤としてカウントされる。
今回の話は、「長期的にみてエビリファイの少量追加に意味があるのか?」といったものである。
一般に抗精神病薬にエビリファイが追加されている処方を見ることがある。例えば以下のような処方である。
リスパダール 2㎎
エビリファイ 3㎎
などである。まず、リスパダールのようなタイトな薬に、エビリファイのようなスポンジのような薬を追加して意味があるのか?ということを考えてみる。
この処方のエビリファイはリスパダールの作用を妨げ、その効果や副作用を弱める作用がある。高プロラクチン血症が改善するのはこのような作用から来ると思われる。
リスパダール投与時に、抗精神病薬としてのエビリファイは、どの程度効果が出ているのかはっきりしない。病状が変わるのは、リスパダールによるD2レセプターへの効果を減弱させる以外の作用もいくらかあると思われる。それは中脳皮質系で、エビリファイのパーシャルアゴニストとしての効果もあるからである(陰性症状への効果など)。しかし、リスパダール投与時にはその効果は弱いと思われる。
一方、抗うつ剤投与時の以下のような処方、
ジェイゾロフト 50㎎
エビリファイ 3㎎
では、エビリファイはおそらくドパミンライクの振る舞いにより賦活的に働く。その点で、
サインバルタ 60㎎
エビリファイ 3㎎
の処方より最初のジェイゾロフトとの組み合わせの方が、エビリファイの存在感は大きいと思われる。
しかし長期的には、抗うつ剤に追加し抗うつ作用を増強するために処方されたエビリファイは次第に効果が弱まっていくように見える。
このメカニズムだが、おそらくこのタイプの向精神薬は効果が持続しないからなんだろうと思う。過去ログには、ブプロピオンは次第に腰折れすると言った記事がある。きっと、これと同じメカニズムなんだろう。
処方薬を整理する際に、抗うつ剤に加え少量投与されたエビリファイを中止しても、何も起こらないことが多い。うつの悪化もなく離脱すら起こらない。
つまり長期投与の少量のエビリファイは、既に効果が発揮できていないことの方が多いのである。これは近年の向精神薬処方制限で薬を整理する際、しばしば経験している。