患者さんが話す50年前に起こったこと | kyupinの日記 気が向けば更新

患者さんが話す50年前に起こったこと

ある日、ある年配の患者さんが約50年前の出来事を語った内容である。彼は再入院後半年目だった。

養鶏場で仕事をしているとき、急に泣き出していた。跪いた。昔からの数々の悪事が思い出されて泣いた。

泣いたあと少し気分が良くなった。そのあとは押し問答の世界です。

僕はね、神様と思っていたんですよ。それでエッチなことばかり喋っていた。泣いた日の後は、悪くはならなかった。会社に行くと、凄く体が軽かった。昼休みは車の中に戻り、昼寝をしていた。

急に尾てい骨に衝撃波があり頭の方に抜けた。その後2か月くらい頭の中に100ワットの電気が点いた。自分はこの明かりがあれば、他に何もいらないと思った。

気持ちは凄く良くなったが、そのあと、もう1人の自分と喋ったのです。その後、数日して風呂に入っていたら「褒美をやろうか」と聴こえてきた。「何の褒美をやろうか」とも聴こえた。

これがテレパシーなのかと思った。


統合失調症の発病初期の異常体験は同じようなものを時々聴くことがある。これはある種の宗教体験にも似て1つの古典的パターンだと思う。

昔のことなのに、あたかも最近あったような臨場感がある。時間感覚の異常からそのように話すのかもしれない。

また上記の内容は、過去ログに紹介している統合失調症的な妄想の話と似ている。

昭和○年○月中旬、無断で家を出た。書き置きには、ある人物を探すとか、自分の限界を知ったなどと書かれていた。○○で車を放棄し関東まで放浪し、○○空港近くの○○で働いていたらしい。○月○日父親に連絡があり、○日に迎えに行って連れ帰った。その時、わけのわからないことを口走る、狙われている、無線で盗聴される、大変なことが起こる、兵器が・・爆薬が・・ミサイルが・・という。ジャンパーのほつれた糸をアンテナと思い込み、焼き捨ててその灰を缶に入れて密封する。お菓子をすり潰して粉にし、警察に頼んで分析すると言う。早く警察を呼んでくれとしきりに言う。(中略)中からビニール袋で包んだものを2個出す。「これは自分が履いていた靴。これは○○の○○で頂いた服、これはジャンパーの焼き灰」と言い、「これを用心して他人に見られないようにして分析してください」という。

参考
統合失調症っぽくない妄想