統合失調症の荒廃と器質性荒廃の相違点 | kyupinの日記 気が向けば更新

統合失調症の荒廃と器質性荒廃の相違点

以下、私見だが、統合失調症の荒廃と器質性荒廃の相違点。重要な順ではなく、思いついた順に。また、一部のものは信憑性が曖昧なものもあると思う。

1、器質性荒廃は荒廃に至るスピードが統合失調症より早い。時に20歳代でも重い欠陥状態に至ることもありうる。

2、器質性荒廃の人は向精神薬全般に忍容性が低い(重要)。

3、器質性荒廃の人はアレルギー疾患を持ちやすい。特にアトピー。統合失調症性荒廃の人は過去にアトピーを合併した人はほとんど診たことがない。いたとしても、せいぜい数人だと思う。

4、器質性荒廃の人は統合失調症の人に比べ幾分癌になりやすいようだ。それも何回でも異なる癌に罹患したりする。ただし、大きな手術には結構強く完治もしばしば。統合失調症の人は過去ログの通り、癌になりにくく自然治癒も時々経験する。

5、肺塞栓症は実は統合失調症ではおそらく極めて稀であり、器質性疾患の人(器質性荒廃も含む)の方がむしろ多い印象。器質性の人では、例えば、プロテインCが生来性に欠如していたり、値が低かったりするのもあるのではないかと思う(過去のカルテを検証したところ、自分の病院ではそういう傾向)。プロティンCが正常で繰り返し血栓が生じやすい人は、未知の血栓にかかわる因子の欠損ないし活性の低下が想定される。

6、妄想の質が統合失調症の妄想とは異なる。(これは長くなるので別の機会に。過去ログの「統合失調症ぽくない妄想」とは異なる内容)

7、「見られている」体験もないわけではないが、特に何らかの幻視の多さも特徴。それに対し、真の統合失調症には幻視はほぼない。

8、器質性荒廃の人は、強い痛みを訴えることもしばしば。それに対し統合失調症の人は痛みに悩むことは稀である。つまり疼痛に強い。

9、器質性荒廃の人は、抗精神病薬で急性ジストニアが生じやすい。これは2つの理由があり、1つは薬の忍容性の低さ。もう一つは、難治性ないし重度の統合失調症と見なされているため、薬が重いこともある。

10、遅発性ジストニアが生じやすく、時に重度である。普通、統合失調症の人は遅発性ジストニアは男性に多く、女性はあっても軽い人が多いが、若年者の器質性荒廃の人では女性でも診るので、男女比が統合失調症とは異なるのではないかと思う。(一方、一般的な老年期の遅発性ジスキネジアは女性に多いと言われている)

11、統合失調症の荒廃と器質性荒廃の人では家族関係に相違があるように見える。器質性荒廃の人の家族はレビー小体病やウエールズの人たちのように親愛なる人間関係であることが多い。

12、あくまで私見だが、器質性荒廃の人は頭髪の量が多く、しかも伸びも早い(子供の頃から、散髪屋や美容院で指摘されていたりする)。ひょっとしたら、薬物の忍容性の低さと関係があり、未知の内因性発毛因子に敏感なこともあるのかもしれない。また頭髪は遺伝性も大きく、家族性に極めて早く禿る人もいる。頭髪は頭がい骨と頭皮の幅(厚み?)も大きく関係し、遺伝的に薄い人は禿やすい)また、薬物で髪の毛が抜けやすい副作用もしばしば出るが、薬物の副作用が決定的な理由で禿るほど頭髪は少なくはないと思う。

参考
器質性荒廃