ゼプリオン | kyupinの日記 気が向けば更新

ゼプリオン

2013年11月末、ヤンセンファーマから、インヴェガ(パリペリドン)の持続性抗精神病薬が発売されるようである。以前、少し触れたようにリスパダールコンスタは2週間ごとに筋注しなくてはならないが、パリペリドンの持続性抗精神病薬は4週間ごとで良い。この筋注製剤はゼプリオンと言う名前が付けられている。

リスパダールコンスタは2週間ごとに通院しなくてはならないが、ゼプリオンは4週間ごとの通院で良いのは便利である。

ゼプリオンの剤型は、25、50、75、100、150mgの5剤型もある。リスパダールコンスタとの換算だが、用量として1:2の関係になっている。

つまり、リスパダールコンスタの最も小さい剤型25mgはゼプリオン50mgに相当する。また最大剤型の50mgは100mgになる。つまり、パリペリドンはリスパダールコンスタに比べて、最低と最大剤型が1つずつ多いため、5剤型あるのである。

言い換えると、ゼプリオンはリスパダールコンスタの12.5mgから75mgまで筋注できる換算になる。

ゼプリオンは開始の際に少し特殊な処方を行う。それは初回に150mg筋注し、1週間後に100mg筋注するというものである。この手法により急速に血中濃度が上昇する。その後は4週間ごとに75mgを筋注する。この筋注の方法では、インヴェガ6mgと同程度の血中濃度が維持できる。

リスパダールコンスタとの大きな相違は、リスパダールコンスタは効果が出るまで約1ヶ月かかるので、移行期間にリスパダールを服薬しなければならない。ゼプリオンは急速に血中濃度が上昇するため、インヴェガの服薬の必要はない。

もちろん4週間ごとに増減可能だが、増量は1回ごとに50mgを超えないこととされている。

ジプレキサの筋注製剤(注:持続性抗精神病薬ではない)では、例えば新患の患者にも筋注できるが、ゼプリオンはリスパダールないしインヴェガを使った人以外には筋注できない。

その理由は、アレルギーが生じた場合、大変なことになるため。

一応、禁忌とされる患者さんは、

1、昏睡状態。
2、バルビツール酸誘導体などの中枢抑制剤の強い影響下にある患者。
3、アドレナリン、クロザピン(クロザリル)を投与中の患者。
4、パリペリドン、リスペリドンに対し、過敏症の既往のある患者。
5、中等度から重度の腎機能障害の患者(クレアチニン・クリアランス50ml/分未満)


とされている。

リスパダールコンスタの筋注キットは冷蔵庫に入れておかないといけないが、ゼプリオンは室温で保存できる。筋注用の注射針を装着し、すぐに筋注可能である。

薬価はおそらく、

25mg 22000円程度。
150mg 75000円程度。


になるようである。これはかなり高いが、それでも1ヶ月に1度で良いのでリスパダールコンスタよりは安い。150mgはリスパダールコンスタ75mgに相当するからである。

リスパダールコンスタは非常に高価な薬価が付けられているが、これはヤンセンがそう画策したわけではなく、国が決めているのである。リスパダールコンスタは海外でも結構高く、例えばスペインと同じ薬価だと言われていた。

いつだったか、NHKでヨーロッパの金融危機のドキュメンタリーをやっていたが、スペインは国債の格付けも下がり、国から薬代が支払われないため薬局に必要な薬などなかった。処方箋を持っていっても薬がない状態なのである。

非常事態の国の薬価を真似てどうする・・

と思った。それと、国は新しいワザが入ると薬価を高くつける。イーケプラが高価になったのは以下の理由による。(過去ログから)

イーケプラはプレシナプスにあるSV2Aに結合し、抗てんかん作用を発揮する。このSV2Aであるが、興奮系、抑制系を安定すると言われている。他の抗てんかん薬でSV2Aを介して作用を及ぼすものはない。

ゼプリオンはアメリカで2009年に初めて承認され、その後、現在では60以上の国と地域で処方されている。

2009年
アメリカ

2010年
カナダ、メキシコ、スイス、ロシア、インド、韓国、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランドなど

2011年
ほとんどのヨーロッパの国々、中国、タイ、フィリピン、台湾、ブラジル、アルゼンチン、コロンビアなど

2012年
南アフリカ、エジプト、モロッコ、アルジェリア、サウジアラビア、イエメン、エクアドル、ベネズエラ、オマーン、UAE、旧ユーゴスラビア辺りの国々、インドネシアなど。

2013年
日本など。