脱皮 | kyupinの日記 気が向けば更新

脱皮

アパシー系、あるいは慢性疼痛の患者さんで、一過性ない周期性に手の表皮が浮き始め、剥けてしまう人が稀にいる。印象としては男性に多い。ある男性患者さんは、

これを「脱皮」と呼んだ。

手掌を見せてもらうと、表皮のうちまだ剥けていない部分は、皮下に小さい蜂の巣のように水泡(つまり透明の体液)が溜まっているように見える。本人によると、無理に剥がすと水が出てくるという。

本人は、ずっと手の水虫(白癬症)と思っていたらしい。本人は疲れている時になりやすいと言っていたが、確かにそう言う時もあるが、長く診ていると、相関はそれほどではない。

皮膚が剥がれた後は、少し乾燥しガサガサになる。痛いものでもなくさほど苦にならないという。

しかし・・これはいつの間にか完治してしまったのである。だいたい、数年~10年くらい。

人によると、この「脱皮」は小指と薬指だけに限局し、一部分しか見られないこともある。これは今から考えると、線維筋痛症の人の一部に合併することがある「掌蹠膿疱症」の不全型のようにも見える。

掌蹠膿疱症は難治性で、治療法はいくつかあるが、ビタミンの「ビオチン」を投与する手法は特筆される。

掌蹠膿疱症の原因ははっきりわかっていないが、免疫異常に由来すると言われている。例えば、歯科治療に使われる金属など。

線維筋痛症も免疫異常に関係が深いので、この疾患が合併してもおかしくはない。線維筋痛症は合併しやすい疾患の数が多すぎると思う。

線維筋痛症は突然消失することがあるが、この掌蹠膿疱症の不全型もそうである。(真の掌蹠膿疱症は難治性)

逆に言えば、このタイプの皮膚疾患が出てきたら、線維筋痛症やアパシー系の疾患に注意したい。

参考
精神疾患と皮膚病
線維筋痛症と前立腺症
ADHD的所見はいろいろな疾患で見られる