ロンドンオリンピック雑感 | kyupinの日記 気が向けば更新

ロンドンオリンピック雑感

まだロンドンオリンピックが始まって間もない頃、嫁さんが、

オリンピックはいつまであるの?


と訊いた。ちょうど、夕方から柔道が実施されていた頃で、

これからもまだまだ続く。まだ陸上も始まっていないのに・・

オリンピックは面白いが、長く続くと、このクソ暑いのに、こちらの体が持たない。


と答えた。イギリスと日本は8時間くらいの時差があり、日本では夜間ぶっ通しであるため、良いのか悪いのか?

リアルタイムでテレビ観戦できるのは良いが、深夜3時頃に決勝がある場合、睡眠スケジュールをたて、少し仮眠し開始時間に起きて観戦し、その後また寝るなどの方針で臨む。これは20年以上前から同じである。

これでは観戦する方も大変。アスリートはもっと大変だろうけど。そして、この暑さ!

日本が勝とうが負けようが、自分の人生が変わるわけでもなく、一銭の得にも損にもならないが、スポーツとはそういうものである。これはサッカーのサポータに聴けばわかる。

フェンシング個人戦の太田選手が出た決勝や、レスリング女子の深夜の決勝はそのまま眠らずに観ていたため、朝はもうヘトヘトである。

かつて、「柔道は3位決定戦が面白い」と書いたことがある。

オリンピックの柔道競技では、世界ランキング1位、最有力の優勝候補でさえ、決勝に行けずに銅メダルを獲得しただけで相当に喜んでいる。海外選手の場合、ほとんどがそうである。やはりオリンピックの銅メダルは、世界選手権より価値がずっと高いのであろう。

ところが、日本選手が勝ち上がりで早々に負けて、男女とも三位決定戦にすら出場できない日があった。(敗者復活戦は、準決勝に出場した4人のうちの1人に敗れた選手でないと参加できない。)

とたんに柔道競技の放映が他の競技に変わった。楽しみにしている観戦者にも配慮してほしい。他国の選手同士でも、3位決定戦とかその前の試合は相当に気になる。(日本人が負けてしまった選手がどのような勝ち上がりをするのかは非常に興味があるため)

その結果、柔道は観ているだけで相当に力が入るというか、最終的に勝っても負けてもこちらは筋力を使い過ぎてヘトヘトである。これは嫁さんも全く同じ意見であった。

柔道競技ではあまり金メダルが取れず、ロンドンオリンピックの競技全体でもあまり芳しい結果にならないのではないかと思われたが、水泳競技を始め、幅広い種目で銀と銅メダルは相当に取っている。金メダルが相対的に少ないだけである。特にこれまで参加してもメダルまで取れなかった競技でメダルが増えたことは喜ばしい。これは日本のスポーツ競技の裾野が広がったことを示している。

日本の新聞では金メダルの獲得数を基準に国別順位を付けているが、これこそ、金メダル至上主義を表している。一方、アメリカの新聞ではトータルのメダル獲得数で順位がつけられ、その基準だと日本はかなり上位に位置している。現在、金メダル基準では13位だが、総メダル数では6位である。

このアメリカの方法だが、金メダルから銅メダルは、運とか偶然の差に影響されたものであり、大きな差異がないという考え方に基づく。だからトータルのメダル数でランキングが表示されるのである

日本のメダル至上主義は、これまでマラソンの代表選考で度々混乱を招いた。(あまり話題にならないが、柔道も同様)

例えば、ソウルオリンピックの代表選考会の瀬古選手や、その後のオリンピックの有森選手の代表選抜などである。

アメリカでは選考会の結果が全てであり、選考会の直前に怪我をして出場できないような選手は最初から負けていると同じで、本大会でも良い成績が残せないといったところであろう。実際、骨折した選手が包帯を巻いたまま選考会に出場した映像(110mハードル)を観たことがある。(もちろん負けた)

アメリカは多民族国家であり、また訴訟社会でもあるので、もし妙な選考をした場合、裁判で負ける可能性も高い。

日本の場合、特にメダルが期待できる個人競技では、たまたま選考会で結果が出なかったとしても、強い選手を出場させる方針である。これこそメダル至上主義を示している。

近年に限れば、マラソンは実力的にメダルから遠ざかり、誰が出てもあまり結果は変わらないため、比較的公正な選抜が行われているように見える。(選考基準をめぐり混乱が生じにくくなった)

今回、球技の活躍が目立つ。史上初の卓球女子団体の銀メダルや女子サッカーの銀メダルである。

日本のサッカーは男女とも、ベスト4以上に勝ち進み、揃ってメダル獲得の可能性があったが、男子は最終戦の日韓戦に敗れてメダルを逃した。

最終戦が、女子が日本vsアメリカ、男子が日本vs韓国だったので、揃って敗北する確率濃厚と思われた。実際、アスペルガーの外来患者さんに予想や意見を聞かれたので、

2つとも勝てそうにない。

と答えたら激しく立腹された。人に意見を聞き、自分の思うような答えが帰って来ないだけで、そこまで怒るのは謎である。人には色々な意見や考え方があるから。

実力的に女子はアメリカが上回るし、男子は若い世代、A代表ともに韓国に勝つときは辛勝、負けるときは完敗するのは散々観させられてきた。実力差以上に相性が最悪なのである。

なでしこの決勝戦は、最初に2点取られたものの1点返した上、試合全体を通じて決定的な場面も多く、良い出来だったと思う。ワールドカップやオリンピックなどの大試合で、明確に実力差があるチームに2回連続で勝つのは難しい。

男子の場合、なまじ親善試合でメキシコに勝っていたため、なんとなく準決勝は勝てそうに見えたのがミソである。この試合で、あの負け方は心理的に堪えると思う。完全に負けるとわかるような韓国のブラジル戦大敗の方がはるかに気持ちの切り替えが効く。

また、3位決定戦が日韓戦に決まった韓国は、日本に勝てば報奨金に加え兵役免除のお金には替えられない報酬が与えられることになったので、モチベーションと言う点で大差があった。韓国の若者の兵役の義務は大変なストレスになっており、実際、兵役期間に自殺者がかなり出ている。日本の自殺者も多いが、韓国もそれに近い状態なのである。

実際、「男子サッカーの兵役免除は他のアスリートに比べ優遇されすぎている」と一般国民から不満が出て、「韓国負けろ」の声すら出ていたらしい。一般民衆の思惑の逆になりやすい点でも、韓国が勝利する状況が揃っていた。韓国が幾らかでも自国のチームを素直に応援できない心理が働くような状況は滅多にない。まして日本戦なのに。(マーフィーの法則)

昨夜は、日本vs韓国戦の開始10分前に起床し、大型テレビの前に正座して試合開始を待った。

負けそうな気がしていても、サッカーはやってみないとわからないのは日本vsスペイン戦や韓国vsイギリス戦の結果を観ればわかる。

なでしこの決勝戦のアメリカの2得点はほぼ個人技による得点である(特に2点目)。男子でもほぼ同じことが起こった。韓国の2得点は、ちょうどメッシがドリブルでゴールに近づき、1人で得点するような卓越した個人技によるものだ。特に2点目は、ブラジル人のゴールのような素晴らしさであった。

ちょうどキーパーの手の辺りでワンバウンドするようなゴールは、Jリーグの外人選手のゴールで良く観る。

いつかも書いたが、日本の場合、オーバーエイジで香川や本田のようなスーパーな選手を入れないのだから、あの結果もやむを得ないような気がする。サッカーは0-2は大差の負けだし、選手の質的にも相当に差があり、それがそのまま出ただけである。

前半に1点取られた時、雰囲気的にもう同点にできそうになかったため、ハーフタイムには全身が脱力して放心状態であった。

サッカーの場合、0-1でも到底同点にできそうにないと感じられる試合がある。そして、後半のあの個人技によるスーパーゴールである。

試合が終わりベッドで2時間くらい眠った。仕事上の非常に奇妙で不愉快な夢を見たので、朝、起きたときは一層、疲れていた。

まあ、1日もすれば、普段の日常に戻るんだろうけどね。