貴方、何でデパケン飲んでるの? | kyupinの日記 気が向けば更新

貴方、何でデパケン飲んでるの?

ある日、初診した若い女性患者さんが持参した薬の中にデパケンRを発見。

「貴方、何でデパケン飲んでるの?」

と僕は聴いた。彼女の話では、どうも頭痛に対してデパケンRが処方されているようであった(精神科以外のクリニック)。確かに、デパケンR(バルプロ酸)には片頭痛の適応はある。これは比較的最近、いつのまにかと言った感じで適応追加になっている。

デパケンRの適応(効能・効果)
1. 各種てんかん(小発作・焦点発作・精神運動発作ならびに混合発作)およびてんかんに伴う性格行動障害(不機嫌・易怒性等)の治療

2. 躁病および躁うつ病の躁状態の治療

3. 片頭痛発作の発症抑制


しかし3の場合、但し書きとして、

<効能・効果に関連する使用上の注意>
片頭痛発作の発症抑制:本剤は、片頭痛発作の急性期治療のみでは日常生活に支障を来している患者にのみ投与する。


とあるので、彼女の話す内容の頭痛でデパケンRを処方するのはやや乱暴な対応と思った。デパケンR以外にもデパスなども処方されており、彼女の疾患からすると、デパケンR、デパスいずれもやややりすぎと言った印象である。

その後、これらの薬を漸減・中止する方針とした。彼女は日常生活にさほど支障がない程度の社会不安障害なのである。「日常生活にあまり支障がない」という時点で、あまり問題にならない軽い神経症である。こういうのは、僕はあまり精神疾患とみなしていない。

いったい彼女に何を使うかであるが、向精神薬を処方するかどうかという点で、微妙すぎて迷うような問題。

結局、レスキューレメディーが結構良くて、それだけで良くなった。頭痛もほとんど気にならないほどになったらしい。数ヵ月後、治療終了。

彼女は、今はレスキューレメディーも止めているのではないかと思う。

参考
向精神薬と妊娠、授乳のテーマ
デプロメールとレスキューレメディ&PMS
あれだけで良いんですか?