ウソ発見器 | kyupinの日記 気が向けば更新

ウソ発見器

ウソ発見器なる機器?は漫画などで知っていたが、比較的簡単に作れることはマイキット150を購入した時に知った。その150回路の中に、「ウソ発見器」があったからである。

理論的には人間は導体なので、嘘をついた際に手先の発汗などがわずかに生じ、電気抵抗が変化することに基づく。

一般に、ウソ発見器はそのような単純な理論によっていることは知られていない。

ウソ発見器が犯罪の事情聴取などで利用された場合、「ウソ発見器」をかけると言われただけで、普通の人は動揺する。つまり真犯人でなくても、質問の内容次第では心が動揺し、あたかも嘘をついているような結果になることがある。

いつだったか、松本サリン事件の検証のテレビ番組を観ていた際、第一通報者で奥さんも重い後遺症が残るほどの被害を受けた河野義行氏が、警察署でウソ発見器をかけられる場面が出てきた。

彼は何かの言葉に反応し、心が動揺し、あたかも嘘をついていたかのような結果が出たのである。

長野県警の捜査員は、河野義行氏が犯人と完全に決めつけていたので、

機械は嘘はつきませんねぇ・・

と結果を話し自白するように恫喝した。しかし、松本サリン事件は後に明らかになるが、オウム真理教による犯行であり、河野さんは自白しようにも説明もできなかったと思う。

農薬など簡単な薬品ではサリンは作れないからである。(オウム真理教の信者の中にもサリンを製造中に死亡した人もいたようである。つまり製造過程も相当に危険)

元々、日本では犯罪の裁判でウソ発見器は証拠として採用されない。だから、捜査側は参考にはなってもそれが決定打にはならないのである。

しかし、それは一般の人には知られていないので、「ウソ発見器をかける」と言われた際の被疑者の動揺の程度は多少は参考にはなる。しかしながら、罪悪感が全く欠如しているサイコパスより、一般の人の方が「万一、機械でウソと判定されないだろうか?」という不安は強いと思う。だから動揺したから怪しいとまでは言えない。

ウソ発見器が証拠採用されないのはとても日本らしい。日本では卑怯な捜査方法は受け入れられない風土がある。

例えば、アメリカの犯罪捜査の際にみられる、おとり捜査や司法取引である。

「おとり捜査」はわざわざ犯罪をさせているようなもので、日本的には「やり方が汚すぎる」といった感情が湧く。司法取引も同様である(司法取引は汚いと言うより結果に納得できない)。

松本サリン事件での長野県警やマスコミの犯人の決めつけ報道は酷かったと思う。今でも憶えているが、不起訴になりその記者会見の際、長野県警の代表の人が、河野さんの真横で、

河野さんが本当のことを話してくださらないので・・

と発表していた。この言い方では、証拠がないので黒に等しい灰色だが釈放せざるを得ないと言った風にしか見えない。オウムの犯行が明らかになるまで、河野さん宅には嫌がらせの電話などが多くあったらしい。

長野県警は遺憾の意は表したが、なかなか謝罪せず、2002年に河野さんが長野県公安委員就任したため仕方なく謝罪した。これはアレフの謝罪より遅かったのである。

参考
電子ボードとマイキット