トピナと過食の改善、情緒の安定について | kyupinの日記 気が向けば更新

トピナと過食の改善、情緒の安定について

今回のエントリは「105kgから62kgまで減量した人」の続きになる。また「トピナの用量をどのように決めるか」のエントリとも少し関係がある。なお「105kgから62kgまで減量した人」はトピナではなく「広汎性発達障害、アスペルガー症候群」のテーマにいれている。

あの105kgから62kgまで減量できた女性患者さんは、その後全く来院しなくなった。仕事はしているのを職員は見ており、だいたいの様子はわかっていた。どこのエントリか忘れてしまったが、彼女の場合、一般的に言う寛解や治癒とは異なるのではないかと記載している。それは服薬を止めると、再発する確率が非常に高いと思われるからである。

1年半ほど経ち、彼女は再診した。その時の体重がなんと85kgを超えていたのである。

彼女は肥満しやすい家系らしく、過食をトピナで抑えているだけで本質的にはさほど摂食障害が改善しているとは思えなかった。薬を止めた後、再び過食に悩むようになったらしい。

再診の際に内服薬を希望したためトピナを処方したところ、不思議なことが起こった。通院しなくなる直前のトピナの処方量が100mg(50mg2錠)だったので、そのまま処方している。ところが、彼女の話では、

服用した夕方、食事をしていると、左手が痺れ始めた。その数時間後から、顔も痺れてきたと言う。心配になり薬を止めたところ次第に消失。しかし、あれほどあった異常食欲が収まっている。

トピナ100mgであっという間に過食はなくなったらしい。過去ログを読むとわかるが、彼女は薬に弱い体質である。だから1年半も薬を止めていたのなら、少ない量で再開すべきだった。トピナは効いてはいるので、完全に中断せず、12.5mgから再開することにした。

これで、副作用がほとんどなく服薬できるようになった。徐々に増量し、100mgまで増やしたところ、最初に100mg服用した時の痺れ感は全く生じなかったらしい。

しかし・・
トピナ100mgでは過食の抑制は今ひとつなのである。それは少量から漸増したことも関係している。(仕方がないが・・)

しかし、本人の話では、むなしい気持ちやうつにはかなり効いていると言う。彼女はリボトリールを併用しているが、少量であるし飲まないこともあるようで、実質的にトピナのみの薬理作用なのは間違いない。

彼女は再び少しずつ体重が減り始めたが、劇的に減ってはいない。おそらく62kgになることは難しいのでないかと思った。

それでも、彼女は通院を続けることにしたようである(今のところだが・・)。

参考
105kgから62kgまで減量した人