幻聴消失後の虚脱状態 | kyupinの日記 気が向けば更新

幻聴消失後の虚脱状態

長期に続いた幻聴が遮断されると、急激な虚脱に襲われることがある。これは内因性幻聴、器質性幻聴いずれでも起こりうるが、長年続いている幻聴では、むしろ器質性の人でそうなりやすい。

以下は、長年、幻聴が続いていた人の消失後の言葉である。

幻聴が減ってから疲れが出やすい。いつも眠くなりやすい。今まではこんなことはなかったのに・・現実感が出てきたからでしょうか?

自分は長生きはしないんじゃないかとか・・自分は長生きして良いのか?と思う。少し数字を見ると関係付けしてしまう。


このような虚脱はドパミンの急激な減少も関係しているのかもしれない(謎)。急激な変化による脳内のレセプターのアンバランスな状態も関係しているのかもしれない。

上の内容のポイントは「強迫」が散見されること。これは極めて重要と思われる。(過去ログ参照)。また持続的な眠さを訴えていること。これは幻聴がみられていた時期の交感神経優位な状態から、副交感神経優位な状態に変化したこと暗示している。

特に器質性の幻聴では、むしろ消失後のほうが大変である。周囲は幻覚の海。ゆり戻しが生じ、幻覚が再燃することも稀ではない。(消失後が大変でない人は統合失調症という意味ではない。幻聴消失後、大きな体調の変化がない人は器質性、内因性、いずれでもみられる。)

ある広汎性発達障害の女性は幻聴が10年以上続いていたが、幻聴遮断後、全般性不安障害のような病態に変貌した。

薬物治療の際、不安に何がしか効果がある薬物を併用する方が、その後の波乱を減少させるようである。過去ログに3環系抗うつ剤や気分安定化薬と幻覚妄想の記事がいくつかある。

参考
内因性幻聴と器質性幻聴
アナフラニールの点滴と器質性幻聴
器質性妄想とトピナ
統合失調症にうつはあるのか?
双極性障害の周期的傾眠について(8)