りんご | kyupinの日記 気が向けば更新

りんご

僕が初めて遠くの関連病院に派遣されていた時のこと。

当時、その関連病院では医局出身者は僕だけであり、ほかのドクターの出身大学はまさにバラバラであった。その病院はどこの医局の関連病院だったかといえば、歴史的にはうちの大学のジッツだったと思う。たとえ僕1人だけだったとしても。

当時、そのくらい精神科の医局員が不足していた。現在、その関連病院は手放しており、その県の大学の関連病院になってしまった。もはや医局員を派遣すらしていないからである。今後、派遣を再開するとしたら、もう病院にお願いして派遣すると言う感じだろう。それでも大歓迎されると思うが。

僕がそこの病院で働いていた当時、大学医局から、高級りんごの詰め合わせが贈られてきた。お歳暮といった感じでしょうか?

僕の大学のある市内のデパートから送られてきており、関連病院にそういう風なことをすることを初めて知った。

当時、医局長は神戸大学の出身であり、なかなか感じの良い人であった。(よく一緒に飲みに行っていた)

しばらくして、医局長がデパート宛に自筆で手紙を書いていた。何ですか?と聞くと、りんごが1個だけだが腐っていたので、手紙で知らせるつもりだと言う。

しばらくして、りんご4個の詰め合わせにお詫びの手紙が同封されて送られて来た。

彼は言った。

さすが、高級百貨店。証拠を見せろとも言わない。
こういうのがプロの仕事、つまり信用を大切にしているんだろう。


今の日本では、無形のものを大切にする伝統が薄れてきているのかもしれない。