ミルタザピンの話 | kyupinの日記 気が向けば更新

ミルタザピンの話

ミルタザピンについてはこのブログでも何度か紹介している。このミルタザピンだが、どうもこの薬が今後日本で最も早く発売されそうな抗うつ剤になりそうなのである。僕は、ブプロピオン(商品名:ザイバン)の方が少し早いのではないかと思っていた。ブプロピオンは禁煙の経口薬でもあるからだ。

ミルタザピンはオルガノンにより開発され、テトラミド(ミアンセリン)の派生薬物でもある。この薬だが、日本では2004年頃から明治製菓が開発を引き継ぎ、既にplaceb-controlled studyのもとに用量反応試験を成功させている。いつだったかブミ氏が、

たとえばうつ病の治療。抗うつ薬の統計的有効率と統制群の差はせいぜい20-30%に過ぎません。

とコメント欄に書いていたことがあるが、新薬の治験の際に、あんがい有意差が出ないのである。そういうことを考えると、この結果は立派だといえる。このブミ氏のコメントはこのブログの「初めにお読みください」のテーマの一番上のエントリにある。僕は抗うつ剤がここまで頼りがない薬物とは思っていない。臨床上の体感的な有効率においても。

ミルタザピンはレメロンという商品名で既にアメリカで発売されているため、日本オルガノンからはレメロンのままで、明治製菓から併売される際は名前が変えられると思われる。(デプロメールとルボックスの関係のように)

このミルタザピンだが、どうもH1受容体に親和性が高く眠い薬らしい。半減期がかなり長く(20~40時間)、特に睡眠を改善する。1日夜だけ服用するようなタイプで、ルジオミール、レスリン、テトラミド的な薬物なんだろう。

どうもこのような薬物プロフィールを聞く限り、そこまで強い抗うつ剤とは言えないような。それでもテトラミドの派生薬物ならそこまでダメな薬とも思えないのだけど。副作用としては、体重増加を来たすが性機能障害はみられないらしい。