統合失調症と加齢臭 | kyupinの日記 気が向けば更新

統合失調症と加齢臭

統合失調症の年配の患者さんには加齢臭がない。このことは5年くらい前に気がついた。加齢臭とは、いわゆる中年から上の人にみられるオヤジ臭さだ。もちろん女性もみられる。


統合失調症の患者さんにはこの独特の臭いが見られない。もちろんなかなか風呂に入らないとか、不潔な人はいるのでそんな人はもちろんくさいが、それは加齢臭とは違っていて、いわゆる「風呂に入らないのが長期に続いた臭さ」だ。


精神科病院では入院患者は圧倒的に統合失調症の診断の人が多いので、病棟が加齢臭で満ち溢れることはない。仔細にみると、脳血管性の認知症や脳卒中後の半身麻痺の人には加齢臭がみられる。まぁこの割合が病棟内では小さいので、加齢臭が目立たないのだろう。


近年、人工的に加齢臭を作り出すことに成功したというニュースをテレビで見た。ひょっとしたら統合失調症の人は、この加齢臭を作り出す物質を作れないようなメカニズムがあるのかもしれない。うつ病の患者さんに加齢臭があるかどうか、いまいち自信がない。病棟内での頻度は低いが、躁うつ病や非定型抗精神病の患者さんには加齢臭がないような気もする。とにかく、病棟で統合失調症の人と話をしていても臭いと感じることはないのである。


僕は毎週水曜日、近所の総合病院にコンサルテーションに行っており、何人か診察しているが、病棟に行くたびに精神病院の方がはるかに臭くないと思う。今の療養型の内科病棟なんて、老人がひしめいていて、加齢臭に満ち満ちているのである。


結論; 精神病院の病棟は臭くない。

    きれいなもんだ。