あの充実感を味わってしまうと、普段の実感は味気なく、小籠包のジューシーさを、焼き餃子に求めるのは難しい。
眠ることに恐怖を覚えたあの頃、眠り続ける心地よさは起きている時に初めて感じられるのだと気づいた。
眠らなければ目覚めはないし、起きていられる時間を尊ぶことも少ない。
静寂に音があることを知り、騒音に個々の音を見つけ、自分の声をひたすら探す。
心の中を駆けめぐる、音だの色だのにぎやかに、果ては静かに薄れてく。
迷い込んでは抜け出して、開けたつもりが行き止まり。拓くか探すか悩んでは、時の浪費を嫌悪する。
眠気は寂しさ虚しさより強く、訪れを切望する朝へと向かう。絶望の手をひいて。