それは確かにそこにあって
目に入れるには眩しすぎて
それでも手を伸ばしてみた
確かに感じた希望を掴んで
ぎゅっと ぎゅっと 二つの手で包むような握りしめた
誰かに夢を届けたくて
頭も目も耳も口も手も足も……
伝えたくて
伝えたくて
嬉しい楽しいを届けたくて
いつの間にか
何かを握りしめていた手を見ることすら忘れて
そして、ある日
強く握りしめていた手のひらは震えていた
力を入れた爪が食い込み、血だらけになって震えていた
頭も目も耳も口も手も足も、そして心も、みんなみんな震えていた
そっと、そっと開いた手のひらには、何もなくて
少し上から、あたたかい水が落ちてきた
いくつも
いくつも
溜まってゆく水に、どこからか光があたり、眩しく輝いた
さっと吹いた風が、その輝く水を運び、何かへ届けた
手を伸ばせば届く、なくならない、いなくならない何かへ