すなお | きゅっきゅ8のえんがわで

きゅっきゅ8のえんがわで

人生は演劇だ。社会劇場、世間の目を観客に、何者かを演じて生きる。無限大の可能性を信じて、制服に征服されぬよう、着たい服をまとい息をする。こころの店、きゅっきゅ8(きゅっきゅや)のえんがわで、うたたねしながら感じる音や光。
ゆき過ぎる日常をたねに、うたう。


奪われていくものは

足元の砂

与えられていくものは

降りかかる波が残す塩

砂浜に行ったのは自分

波打ち際まで近づいたのも自分


水平線を眺めたくて

海の一部になりたくて

でも、飛び込む勇気がなかったから

奪われていった


海の一部になったなら、水平線は眺められないことも

海があるから、水平線を眺められることも

どちらも知っていたから

奪われていく砂と、与えられていく塩を

ひたすらに見つめて立ちすくんでいた

砂と塩の素直さが目にしみた

流れた涙は砂を固め、塩を溶かし

そして見えなくなって