さて、今日から「高知県の旅」です。昨日の遍路宿は、8名が同宿でした。
マイカー遍路が、ご夫婦等6人、歩き遍路が私と、東京の若者でした。
彼は薬王寺で一旦終了し、ここから再スタートすると、言ってました。
8時前の路線バスで「ジオパーク」のバス停に戻り、出発しました。
暫く歩くと弘法大師が修行した「御厨人窟(みくろど)」がありました。
弘法大師が、この洞窟の中から見えた風景が「空と海」
だったので「空海」と名乗る事になったと言われる所です。
すぐに「㉔最御崎寺」への坂道があり、標高約170m近くまで登って
行きます。海沿いからの直接の高さなので、結構しんどい坂道です。
最初は、地道でしたが、石畳を経て最後は石段です。25分程必死で
登る「試練の坂」で薬王寺から歩いて来た身には、辛い道でした。
最御崎寺に到着です。寺は弘法大師が、807年に自ら本尊「虚空蔵菩薩像」
を刻み、創建したと伝わります。火災で焼失し、江戸期に再建され、明治期
に、再び荒廃しましたが、大正期になって今の景観に再興されています。
室戸岬の山上にあり、境内は広く、堂宇も立派でした。バスツアー
遍路さんが多く、賑やかでした。すぐ下に「室戸岬灯台」があり、
灯台や「室戸岬の散策」等が、セットで観光地化されているようです。
自動車道と同じ道を下ります。雄大な太平洋と「室戸の街」の景観を
楽しみながら、下って行きます。次の「㉕津照寺」までは、6.5㎞です
遍路道は、室戸岬そのものは通らないので「岬の遊歩道」や
有名な「中岡慎太郎像」には出会いません。最御崎寺を、下り
きると、国道55号線には合流せず、旧道を進んでいきます。
途中、津呂港がありました。室戸(港)は、紀貫之が10日間風待ちした
ように、昔から、高知から京・大坂方面に向かう船の「風待ち場所」でした。
この津呂港は、江戸初期に「ノミと槌」で岩を砕いて、開削した港です。
深いプールの様でしたが、昔はもっと大きかったようです。右のほぼ
真っ直ぐな旧道を歩きますが、随所に昭和9年、甚大な被害を受けた
「室戸台風」の高潮到達点碑等が、立っていました。
「津照寺」に到着しました。ここも、807年に弘法大師が訪れ、自ら本尊
「延命地蔵」を刻み創建したと伝わります。数々の海難事故を、ご本尊
が現れ、船の楫(舵)を取って、防いだ事から「楫取地蔵」とも呼ばれます。
寺は平地にありますが、本堂は石段の上です・・。階段で同世代のご夫婦
遍路さんにお会いしましたが、何回かに分けて、マイカーでお遍路をされ
ているとの事でした。次の「㉖金剛頂寺」までは3.8㎞、近いです。
再び、旧道の一本道を歩いて行きます。迷う事がない道なのか、高知県
に入ると「遍路道保存会」の「案内シール」が少ないようにも思いました。
遍路道は「江川」を渡ると右折し、金剛頂寺のある山へと向かいます。
寺は、標高約170mの地点にあり、地道の坂を登って行きます。
途中、時々「丁石地蔵」がありますが、その数は少なかったです。
金剛頂寺です。弘法大師が、708年に本尊の「薬師如来」を刻んで創建した
とする「どの寺も同じ」寺伝があり、平安期まで天皇の勅願寺院として栄え
たようです。何回かの火災に会い、今の堂宇の多くが、戦後のものです。
一人の若者が境内で、ストレッチをしていました。聞くと「足を捻挫した」
ようで、持っていたシップ薬を渡しました。彼は薬王寺から「寝ずに歩いて」
一日で室戸まで来たそうです。すごい「強者」もおり、遍路もいろいろです。
次の「㉗神峰寺」へは27.5㎞です。今日中の到着は無理ですが、
なるべく近づきたいものです。金剛頂寺から山道を下って行きます。
下る途中に集落がありましたが、空き家や耕作放棄地が
広がっていました。室戸も、過疎化が進んでいる様です。
山を下り旧道を進んで行くと「重伝建地区」の「吉良川町」となります。
「備長炭」の生産・物流で財を成した人が造った町並みだそうで、壁
に差し込んだ「水切瓦」の段数の多いのが、裕福な家の証だそうです
左の大きな家には、4段の水切瓦がありました。4段が最高位だそうです。
この後国道55号線を、ひたすら歩き「羽根郵便局」の先から旧道へ
と右折し、田舎道を進んで行くと、旧遍路道が残っています。
結構アップダウンのある山道でしたが、旧遍路道として、整備
されているようで、維持・管理されるる方々には、感謝です。
旧遍路道の出口です。この先で国道に合流します。
国道に出ると「弘法大師霊跡」の石碑があり、下に「お堂」がありました。
降りてみましたが、お堂は閉められており、何の遺蹟かわかりませんでした。
この後、国道55号線をひたすら歩いて、奈半利の街近くで、朝から
の歩行時間が、9時間を越えましたので、本日はここで終了としました。
今日は、ほぼ一本道で迷う事のないコースでした。相当過疎化が進んで
おり、住民に会う事は、なかったです。路線バスの時刻が、合わないので
タクシーを呼び、予約した某ホテルへと向かいました。