前作迄でタマキがどういう人か、組織で初めて産休取得者が出たとき何が起こったか私Aの眼に写ったことはほぼ書ききった。これからは数回にわたるタマキを見舞った顛末を書きたい。その後私Aが身勝手な親父労働組合とどう渡り合ったか書こうと思う。
タマキが突然休み始めて正直さびしくて仕方なかった。ヨシズミやトオルはお見舞いに行ったようだが私に一緒に行こうとは声はかからなかった。タマキに会いたければ1人で行くしかなかった。午後の始業前に下の休憩室に行ってゴロゴロしている男性従業員を跨ぎ跨ぎしてヨシズミを揺り起こし、タマキの入院先への行き先を尋ねた。ヨシズミの嫁がその病院の看護師だった。
お中元、お歳暮もない組織、お見舞いにいくらくらい持って行くべきか、分からなかった。百貨店のお菓子を持って行き、食べないなら看護師に分けてくれで行こうと思った。タマキの家に電話して旦那さんに、行っても良い状態かきくと「寝ているだけなのでいつでも来てください」とのことだった。
そしてある日私Aは千利休で有名な未知のゾーン○カイ市に菓子折りを持って入りこんだ。