庶務係長カツヒコはすっかり次の新規採用試験合格を狙うユキコの魅力の虜で、私Aに対し「女子が早出してくれたらユキコが入れるのに!」とか「Aよりもユキコの方が美人だ」とか言って来るようになった。遅刻一つせず働いて3年目の誠実なAよりも何故大切な職場を捨てて来たのかわからないユキコに肩入れするのかと私Aは呆れた。カツヒコ自身も教員採用試験に落ちスワロー電機を2、3年で辞めこの職場に入って来て転職者に大甘であった。「庶務係長カツヒコ」シリーズで分かるようにカツヒコというキャラクターは女性労働者をいつでも代替のきくものとして見ていた。良識のある庶務係長なら真に公平な新規採用試験ができるように2ヶ月社会保険無しで雇って1ヶ月休んでもらうシフトからユキコを外すだろうがカツヒコの場合はすっかりユキコに執着してしまった。そして私に対する風当たりは日増しに強くなった。