実家から離れていた間、辛い事がなかった訳ではない。
それでも毎日父・兄の顔を見なくて済んだこの期間、本当に充実していた。
職場の大好きだった先輩に触発されて、自動二輪の免許を取った。
そして、バイクも購入した。
なのにバイク自体は実質3か月ほどしか乗っていない・・・
その後は車を購入した。
暇があったらドライブ三昧。
海外旅行に何度も行ったし、
とにかく楽しい日々だった。
実家に電話をかけたら、時々ではあるが父がでる。
そうなると、言葉も交わすことなく母に替わられた。
私には好都合だったけれど・・・
楽しい一人暮らしから数年。
私は何故か実家に帰る事になる。
就職した当時付き合っていた彼は、高校の同級生。
地元の企業に就職した彼とは、遠距離恋愛になってしまった。
そして、遠距離開始1年ちょっと経った頃・・・
彼には地元でも付き合っている人がいることが分かった。
私は見事に撃沈した。
振り返ってみると、私の与える愛のかたち、愛情だと思っていたものは、とてつもなく重かったのだと思う。
毎日ほぼ同じ時間に電話して、その日の出来事を報告しあう。
次はいつ会える?
来週は?その次は?……
彼には重すぎたのでしょう。
愛情表現&加減が全く分からなかったので、私が与えるもの全てが重かったはずだ。
勝手に結婚まで夢見ていた私は、パニックに陥った。
ちょうどそんな頃、地元に戻って就職しないか?という話が持ち上がった。
何だかよく分からないまま、就職のため筆記試験を受けに行った。
そして面接に進む。
翌年4月からの採用が決定した。
何故試験を受けてるの?
何故面接受けてるの?
なんで合格しちゃったの?
なんで上司に「仕事辞めます」って言っちゃったの?
なんで私の送別会に出席しているの?
なんで引っ越し?
なんで、なんで・・・・
最終的には自分で決めた事に変わりはないが、何故辞めたのかしら??と今でも思う。
多分、地元に戻れば元カレに会えるかもしれない。
あわよくば、よりが戻ったりして・・・
なんて淡い期待を抱きながら、地元に帰ったのだと思う。
しかし、帰った直後。
同じ職場に偶然就職していた同級生から、元彼の結婚を知らされる。
更に実家に帰った意味が自分でも分からなくなった。
しかも配属された部署は、私が求めていたものとは全く違う所だった。
職種は同じでも全く分からない分野。
勉強する気にもなれなかった。
そして実家に住むことになった以上、父と顔を合わせる機会が激増した。
私の地元は、大人なら1人1台車がないと生活ができない場所。
父が帰宅する車の音が聞こえると、自分の部屋に籠る。
高校生の頃と殆ど変わらぬ生活だった。
私が求めていた生活ではない。
頭の中では前の職場と元彼への未練タラタラ。
そして前に住んでいた場所への未練もタラタラ。
自分が自分でなくなっていく・・・
毎日恐怖心と闘いながら、淡々と仕事をこなす日々だった。
つづく
きこきこ