1989年(平成元年)から2001年(平成13年)の参議院選挙までスタジオキャスターとして12年にわたり、開票速報を担当したが、この間日本のテレビの選挙速報を激変させたのが、

「出口調査」であった。

その導入のおおきな背景となったのが、

「無党派層」と呼ばれる、

「風」によって投票行動を変化させる有権者の拡大であった。


無党派層の増大は、それまでの調査手法である、事前の世論調査や、各種団体の動き取材では、

決して解明出来ない投票行動でった。


「風を読め!」が選挙デスクの常とう句になっていたが、これは現場の記者にとって大変なことであった。


NHKでは、1989年(平成元年)の参議院選挙(「山が動いた マドンナ選挙」から各局で独自に実施。

1992年(平成4年)の参議院選挙(宮澤内閣初の国政選挙)で初めて全国規模で実施。


翌1993年(平成5年)の総選挙から「統計的手法」に基づいて本格的に導入。


これによって開票速報も、まず、出口の結果の公表からスタートして、ある意味で大勢判明を先にやって、

その後、開票に従って、いわば現実が追いかけて行くスタイルとなった。


19998年の参議院選挙で

当時の橋本首相が開票途中で早々と退陣の意向を表明したが、

投票終了直後に各テレビ局が「自民惨敗確実」という出口調査の結果を公表したためであった。


開票速報は政局に直結する番組なったのだ。


ただ、2000年のアメリカ大統領選挙(ブッシュvsゴア)で、出口の間違いから

一旦「ゴア勝利」の速報をした各局が、 これを取り消すなど大混乱に陥ったことがあるように、出口は「手法」や「使い方」によって大きな危険性があることも認識されるに至った。


NHKでも経験から「生活の知恵」も生まれていた。

たとえば、「特定の政党支持者が「弱く出る」とか、県民性故か、特定の県では出口の結果にフィルターをかけて見る必要がある。」など。


しかし、今や『出口調査』は

期日前投票でも実施。

開票や当確判定に欠かせない存在となった。

しかし、私は、『出口』は『魔物』だと

思っている。

如何?

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