今年は参議院選挙を始め地方選挙もたくさんあり
『選挙の年』
アナウンサーの仕事の中でも各局とも極めて重要なのは『開票速報』という仕事。
９回担当した選挙特番
東京で初めて、国政選挙の開票速報を担当したのは、平成元年（１９８９年）の７月の第１５回参議院通常選挙から。
この年は、１月７日に昭和天皇が崩御され、１月８日午前零時「昭和」から「平成」に改元された年。
前年のリクルート問題と直前の宇野総理の女性問題が争点となり自民党が歴史的敗北を喫した選挙
そもそも何故私が、選挙キャスターに起用されることになったのか、ごく最近、私をキャスターに起用した、当時の報道局選挙班事務局長で、「ＮＨＫの選挙の神様」と呼ばれた方に改めて聞いて見たら次のような答えが返ってきた。
『開票速報をそれまでのシナリオのあるドラマ形式から、
起こったことを次々と伝える「緊急報道方式」に改めたいため当時緊急報道などで実力を発揮されていた川端さんをメーンキャスターに起用したのです。』とのことだった。
当時ＮＨＫの選挙は、シナリオ通りに実に見事にアナウンサーが原稿と台本をこなしていた。
僕ら後輩から見てもなかなか見事で何も問題はないと映っていた。しかし実は、時代がフローニュースの時代を迎え、選挙や政局も無縁ではなかったということであろうと思う。
この頃から、開票速報＝政局特番という構図が極めて鮮明になってきた。
そうしたNHKの開票速報の特性がいかんなく発揮されたのが
1993年(平成5年)7月の第40回衆議院選挙と、その結果としての55年体制の崩壊と細川政権の誕生をめぐる動きであった。
1993年5月31日、宮澤喜一首相が、田原総一朗からインタビューを受けたテレビ番組『総理と語る』内において、「（今国会中に衆議院の選挙制度改革を）やります。やるんです」と公約。
しかし結果的に自民党内の意見をまとめきれずに次の国会へ先送り。これに野党が反発。
通常国会閉幕直前に日本社会党・公明党・民社党が共同で内閣不信任決議案を提出。
衆議院の過半数を占める自民党の反対多数で否決されると思われたが、豈図らんや、自民党内から造反者が続出してあっさり可決。
内閣不信任決議可決は1980年以来13年ぶり、日本国憲法施行後4回目であったが、55年体制の崩壊の端緒となるのだ。
不幸としか言えない展開。
結局宮沢政権は衆議院を解散する。(世に言う「嘘つき解散」)
そして第40回衆議院選挙を迎える。
選挙戦は新党ブーム一色。
結果、自民党は単独過半数を維持出来ず、社会党も55年体制以後では最少議席となった。
日本新党、新生党、新党さきがけなどがキーボウトを握ることに。
小沢一郎が細川政権樹立に向け動き出す。
「非自民政権」を作ることが彼の最大の狙いであった。同時に細川というブランドにかけた側面もあった。
選挙から1ヶ月近くたった8月9日細川政権発足。
正直言って、私自身も生まれた時から自民党政権が続いていて、こんな日が来るとは夢にも思わなかった。
私のキャスター生活の中でも
衝撃的で忘れられない出来事で
あった！
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