今回は私の一番弟子
武田真一アナウンサーです。
武田真一アナ
『取材力が十分にあるかはわかりませんが…。
初任地や2局目の松山までの7年間は、持ち番組もほとんどなく、ひたすら取材して、短いリポートを作る、という仕事しかしていませんでした。
具体的には定期的に当たるラジオのリポートと、自らの提案によるテレビのニュースリポートでしたが、初めは常に、
何かネタはないかと新聞や雑誌などをめくる日々でした。
そのうちに、在宅介護や障がい者福祉、環境問題、農業にまつわることなど、ひとつのイシューを取材すると次のネタが浮かんでくるといった、いい連鎖が起きるようになり、ネタを探す勘所もわかってくるようになりました。
印象に残っているのは、
熊本時代に取材した産業廃棄物の不法投棄問題です。
県の廃棄物対策課や不法投棄した当事者、地元の住民を取材し、複雑に対立するそれぞれの言い分をうまく整理できず難渋しました。
しかし、ひとつの事柄を様々な視点から見る、「羅生門」的な思考回路の大切さを学べたとてもいい経験でした。
また、松山時代に四国管内の番組で医療過誤の問題を取材しましたが、
放送エリアではない大阪の被害者の方が取材に応じてくれたことがあります。
ご自身は見られないけれど、
少しでもその問題を多くの人に知ってもらいたい、という思いからでしたが、私たちの取材は「社会を変えたいという人々の思いをつなぐ作業」でもあるのだと知り、
とても大きな学びでした。
特に、決して歓迎されない、
難しい取材を通じて、
なぜ、その問題を取り上げるのか?そのことによって社会をどう変える力になれるのか?
ジャーナリストとしての自分自身のあり方を問われる機会を得ました。
そのことが、その後のキャスターとしての自らの立ち位置を省みる大きな「視座」になったと思っております。』
(文責 川端義明)
今回は
今や、NHKの看板キャスターの一人となった、
武田真一アナウンサーの
取材力涵養の経験を
開陳してもらいました。
&因みに彼は平成2年入局。
熊本→松山→東京アナ室
という局歴。
同期には 阿部渉アナウンサーも。
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