日本で衛星通信が本格的にスタートしたのは昭和38年 19631123日(米国時間22日)。この日、日米間初のテレビ衛星中継の公開実験が行われた。アメリカの打ち上げた通信衛星「リレー1号」を介して、アメリカ・カリフォルニア州のNASAモハービ局からのテレビ映像を、1120日に茨城県十王町(現・日立市)に開所したばかりのKDD茨城宇宙通信実験所(後のKDDI茨城衛星通信センター)で受信するものだった。予定では、日本時間の午前527分に当時のアメリカ大統領であるジョン・F・ケネディから日本国民への録画メッセージが送られ、衛星通信時代の幕開けを華々しくアピールするはずだった。しかし、実際に送られてきたのは、荒涼としたモハービ砂漠をバックにした巨大なパラボラアンテナとサボテンの映像で、大統領からのメッセージは送られてこなかった?



その謎は、3時間後に開始された2回目の実験で解き明かされた。送られてきたのは、
ケネディ暗殺を伝えるテレビニュースの映像だった。映像には、「リレー衛星に載せて電波を日本の皆さまにお送りしております。」
のナレーションが付いていたことも驚きだったが、数時間前に起きた衝撃的なニュースが、ほぼ同時に日本に届けられたことが、新しい時代の到来を実感させた。
(以上NHK放送文化研究所の記録