「日本で放送が始まって以来、テレビ放送は進化を続けたが、とりわけ、1980年代の終わりからの30年の世界の激変期に、日本のテレビは、特にテレビニュースの分野で激変期を迎えた!

最大の変化は、映像の伝送手段の進化である。その昔テレビニュースの取材は、映画と同じようにフィルムカメラで行われていた!その頃テレビ局には必ず「現像室」があった。撮影してきたフィルム(テレビニュースでは主に16mmを使用)はテレビ局に持ち帰り現像して、映画のように投射してこれをカメラで撮って放送していたのだ!東京都内で取材したフィルムが局へ持ち帰る途中、渋滞で放送に間に合わなかったことが日常茶飯事だった。海外で取材したニュースが放送は1週間後であったことも多かった!これがテレビニュースの速報体制の大きな壁になっていた!

1970年代半ば、テレビニュース取材にVTRが導入された。NHKでは昭和55年頃カメラとは別に収録機のついたVTRがニュースに導入された!番組制作ではSV8000というオレプンリール型の収録機が地方局にも配備され、それ以前に配備されていたハンディカメラとは組み合わせてVTR構成の30分番組も作れるようになった!

ニュース部門でのVTRの導入は、日本でもENG(電子映像取材システム)が始まったことを意味した。映像の電子化はテレビニュースに画期的変化をもたらす。小型の中継車を使えば、取材現場からパラボラアンテナから電波で放送局へ送信できるようになった。各社間でテレビニュースの速報競争が始まった。

そして衛星の時代へ。

映像を伝送する場合、中継車からパラボラアンテナを放送局へ向けて電波を送信する。ただ途中で建物など障害物があれば、遮断されて放送局には届かない。つまり放送局のタワーの上の受信アンテナが見えないとダメなのだ!高層ビルが林立する時代、そう簡単ではなかった。そんな状況を一変させたのが、通信衛星の登場であった。現場の中継車から宇宙に浮かぶ衛星に向けて電波を発射すれば、衛星から放送局へ再送してくれる仕組み!これならどんな現場でも空(宇宙)に向けて電波を発射すればいいから簡単だ。ENGから更にSNG(衛星ニュース取材システム)へと発展して行ったのだ。