日本語に、母音、子音と共に「鼻濁音」という

鼻に抜ける音があるのをご存知ですか?

私がアナウンサーになった45年ほど前まで

この「鼻濁音」が出せないとアナウンサーには

なれないとされていました。

特に私の元の職場NHKではこのルールが厳しく

音声テストで必ずチェックされたようです。

私は関西生まれ育ちで、鼻濁音を使わない地域でしたが、中学校の頃から放送部に所属していたため、訓練によって鼻濁音を出せるようになっていましたから、セーフでした。

したがって民放含めて放送局のアナウンサーには

鼻濁音は必須だったのです。

ところがところが、最近テレビラジオを見たり聞いたりしていて、アナウンサーでも「鼻濁音」が出来なかったり、不完全な人が多いことが気になっています。

特に私の元の職場の若い女性アナウンサーに

鼻濁音が不完全な人が多いのです。


ちなみに、例えば、「が」は濁音では

発音記号"ga"になりますが、

鼻濁音では"unga"に近い音になるのです。

単語の音節の「途中」に「が」などガ行があれば

"nga"になります。説明がわかりにくいかもしれませんね。

昔は東京など関東地方生まれの方は特に意識しなくてごく自然に、この鼻濁音が出ていました。

 日本で放送が始まった頃、アナウンサーが使う言葉は、東京の山手に住む人たちが使うことばを元にした標準語という言葉を使うことにしたようです。その標準語には当然鼻濁音があり、

更に「母音の無声化」と「標準語アクセント」というのも特徴でした。

説明がややこしく、長くなりすみません。

いわばアナウンサーの言葉は、放送の草創期に

全国どこの人が聞いてもわかるように、新たに作られた言葉だったのです。


さて、「鼻濁音」です。

実は、日本語の調査研究をしている、NHK放送文化研究所の調査でも、最近、関東地方の生まれ育ちの人でも、特に若い人に「鼻濁音」を使わない人が多くなってきといることが明らかになってきました。将来標準語の大きな特徴である「鼻濁音」がなくなる可能性を指摘していました。

それにしても、公共放送のアナウンサーは

鼻濁音を使って欲しいと、私のような昔のアナウンサーは思うのです。

年寄りの繰り言かもしれませんが。


p.s.1ちなみに数字は鼻濁音になりません。

p.s.2「午後」は"go ngo"と正確に発音して欲しいなあ‼️