バイト帰り、夜
踏み切りに捕まって
かばんの底からケータイを取り出すのも面倒で
自転車のハンドルを握りしめ
目を閉じた。
耳を澄ますと
けたたましい踏み切りの音以外に
どこかの家の空調の音や
呼び合うような鳥の鳴き声が聞こえた。
肌を澄ますと
背後から微風が吹いていることが分かった。
あまりに弱々しくて
吹いているというより触れられているような感覚に陥ったけれど。
見ていてつまらなくても
聞いてみたら?触れてみたら?
感じられる世界は余りある
それはまだまだ楽しめるということ。
踏み切りが開いて
再び私は走り出した。
