きつい香水や、

たばこやお酒のにおいが嫌いだ。


人にはそれぞれのにおいがあるはずなのに、

それを消してしまうのはもったいない、と思うから。


先輩で、とてもいい香りがする人がいた。何もつけてないのに。

「たぶんバスクリンの『ミルクの香り』だわ」と言っていたけれど、どう考えたってあの香りはミルクじゃない。


今、その先輩は遠いところにいる。なかなか会えない。

でも、時々同じ香りのする人と擦れ違ったりすると、

一瞬にして先輩のことを思い出す。


香るひとは、無意識のうちに自分を思い出させる。

何だか、ずるい。

でも、不意打ちでやって来る懐かしい香りが、私は好きだ。

たとえ切なくなったとしても、「時間」が見守っていてくれるから。