硬派なドラマ「男たちの旅路」と生真面目さと | 1963からの道のり

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1963年生まれのオヤジです。長い道のりを歩き続けて辿りついた場所は
・・・・・。

10代の頃テレビにかじりついて見ていたドラマがある

NHKでやっていた「男たちの旅路」というドラマ

3話が連続でシリーズで放送していた

毎週土曜の夜8時からの放送を心待ちにしていた記憶がある

30年近く経った今でもこのドラマは鮮明に胸に焼き付いている

鶴田浩二演じる太平洋戦争を経験した年配の男性を中心にした物語で

水谷豊と桃井かおりが若い部下として競演していた


物語の内容はネットで検索するといろいろ出てくるのであえて語らないが

鶴田浩二の演技と山田太一の脚本が作り出したドラマだ

水谷豊の演技も「傷だらけの天使」のアキラ役をどこか思い起こさせるもので

あの頃の水谷豊にしか出せなかった味があった


いつも戦争体験を引き合いに出し説教を始める鶴田浩二演じる男

戦争を肯定するわけではなく 国のために命を懸けた人たちがいたことを

若者に切々と語る

何のリアリティもない当時のオレには うるさいオヤジに映りながらも

その言葉の説得力にはリアリティを感じた

鶴田浩二という役者が実際に戦争をどう体験したのかはわからないが

戦争を経験した人たちには経験したものにしかわからない

何かがあるのかも知れない

世の中に対しての怒り 大人や若者 人間に対しての怒り

ストレートな言葉は まだ10代だった自分にひとつの価値観を植え付けた

共感した言葉がいっぱいあった

山田太一という脚本家のセリフには力があり 

文章としての言葉が鶴田浩二という役者の体を通り抜けると

さらに強いチカラを 言葉のチカラを放っていた

すごい役者さんだったんだな


車輪の一歩というシリーズ最後の物語が印象深い

車椅子の障害者の話だった

障害者がどう社会の中で生きていくかという重いテーマの作品で

この中でも鶴田浩二演じる男の言葉のひとつひとつが訴えかけてくる

見終わって感動したなんていうのはこの番組が初めてだったかもしれない


硬派なドラマというと他には倉本聡なんかが上げられる

山田太一と倉本聡というと比べられることも多いのかな

人間をいつも深く掘り下げて描くドラマには誠実さを真面目さ感じる

視聴率至上主義のテレビ界で

うすっぺらいドラマが多い中 こういう真面目なドラマをもっと作って欲しいね

流行りの若い俳優さんたちをちりばめて

おもしろおかしいストーリーや安易な恋愛話を

ゴールデンタイムと呼ばれる時間に垂れ流す

そこからはなにも吸収するものがない

娯楽だからいい  そんな考えも放送局側にあるのかもしれないが

バラエティばかりで くだらない番組が 何を視聴者に与えるというのか

おもしろいと喜んでいるからそれでいいのか


真面目はうっとうしいと 煙たがられる世の中では考え物だ

仕事だって 生きていく事だって 真面目というのは根本だ

物事を真剣に突き詰めていくことがなくて

いいかげんでてきとうで まあ これくらいでいいんじゃないでは

ろくなもんじゃねえ

お笑いはお笑いで必死に笑わせる努力をすればいい

チャップリンだって志村けんだってそれだけのことをしているはずだ


潔さ は見ていて気持ちのいいもんだ

恥ずかしいぐらいの真面目さも それは潔さだ