教員採用試験の受験指導の喫緊の目標は、受験者に教員採用試験に合格していただくことです。
それと同時に、受験者に優れた教師になっていただき、子供たちのためになる教育をおこなっていただくという確固たる目的があります。
教員採用試験は、人物評価試験のウエイトが高いので、比較的、教師としての適性がありそうな人が合格する傾向にあります。
そうでなければいけないのですが、実際にも、概ねそうなっていることは喜ばしいことです。
ですから、教員採用試験の受験を指導する指導者は、
1. 教採に合格することを最大の目標としながらも、
2. 将来の子供たちを育むことになる次世代の教師にふさわしい能力や資質を身に付けていただくきっかけを与える
ことを重視する必要があると思っています。
教員採用試験は、小手先の受験テクニックだけでは、合格できません。
まずは、教育への「想い」と「志」が必要です。
そして、その「想い」と「志」を言葉というカタチに表して、語れる必要があります。
また、教師としての資質、人間としての魅力をカタチにして、伝える力も必要です。
こういった能力を身に付ければ、教員採用試験には、比較的、簡単に合格します。
そして、比較的、スムーズに、教師として活躍する出発点に立つことができます。
教員採用試験の対策講座を担当する指導者に必要なものは、少なくとも3つあると思っています。
1. 教採受験者の心を揺さぶり、教育への「想い」と「志」を強固なものにし、それを言葉というカタチにする戦略を提供できること。
2. 教採受験者に教採合格への必要な知識と技能を、楽しく、厳しく、効果的に教え、その教え方そのものが、教育の土台に立脚し、あとですべて忘れても構わないような単なる「受験勉強」ではないこと。つまりは、「本音と建前」の教授法から脱却していること。
3. 教採合格に必要な最大の資質は、子供たちのための教育ができることであることを信じて、指導者自身の慢心を戒め、どうすれば教採に合格し、優れた教師になる出発点に立てるのかを明確に示せること。
私も、教採という受験に合格するための指導者として、合格は最重要視します。
しかし、私は、「とりあえず合格するためのテクニックだけ覚えて、とりあえず受験して、合格したら、そこから頑張りなさい」などとは言えません。
理由は簡単です。そんな指導では、受験者は合格しないからです。
受験者に合格してもらうためには、
「合格は当面の最大目標。でも、そのためには、優れた教師になれそうだということを採用側に納得してもらう必要がある。優れた教師になる予感を感じてもらうには、少なくとも、現段階で、ある程度は、優れた教師、そして、魅力的な人間でなければならない。」
ということを徹底して理解していただく必要があります。
そして、「優れた教師、魅力的な人間」だと映るような面接の語りや模擬授業の仕方を構築していかなければなりません。
教員採用試験は「競争試験」ではなく、「選考試験」であるという原点に立ち返った指導が必要不可欠なのです。
ですから、教員採用試験には、「本音」と「建前」は、あまりありません。
筆記試験の若干の分野には、受験のためだけの暗記という部分はありますが、基本的には、教採受験が終わっても知っていていただきたい知識や教養が大部分です。
とりあえず、受験のためにこれこれを覚えて、受験が終わったら全部忘れてもいいよ、なんて言えるものではありません。
そんな「本音」と「建前」だけで勉強していると、教員採用試験には合格できません。
だからこそ、教採受験の指導者は、自らの慢心を戒めて、受験者の合格に本当に貢献する指導をする必要があります。
指導者が「自らの慢心を戒める」ということは、非常に重要です。
指導者が、自らの指導に傲慢になり、自らの指導を進化・発展させなければ、指導の効果は次第に低下していきます。
どんなに優秀な指導実績がある指導者でも、常に自分の指導を改善、進化、発展させる必要があります。
その意味では、「停滞は後退」なのです。
指導者は、停滞していてはいけないのです。
停滞は、即、後退を意味するのですから。
私は、時々、広島教採塾のホームページの「合格者の声」を読み返します。
「合格者の声」ですから、皆さん、私の講座のよいことを中心に書いてくれています。
でも、私がこれを読むときは、私は、決して自己満足のために読んでいるのではありません。
過去の受講生、合格者たちが、褒めてくれた指導を、いまも怠らず、私は続けているのか?
過去の受講生、合格者たちが、褒めてくれた指導を、さらに進化・発展さえているのか?
この二つのことを振り返るために、私は「合格者の声」を読み返します。
停滞してはいないか?
後退してはいないか?
進化する勇気と努力を失っていないか?
私は自分自身に問い続けています。
今日は、次のような、「合格者の声」を読み返しました。
「厳しさがありました。(面接の演習では)、自分の無力さも感じました。
集団での受講では言葉に出来ないくらい緊張していました。
ただ、河野先生マジックなんだと思いますが、受講していると必ず楽しくなってきて、
最後には終わって欲しくないと思うようにもなりました。
厳しい指摘と言われますが、現実をそのまま指摘してくださるので、自分は改善策を与えていただけたのかなと思っています。
この人について行けば自分は必ず成長できる、
これを常に感じることができるので、充実した時間が過ごせたのではないかと思います。」
「面接(演習)でやったことは、子どもたちの前に立つ上での基本になりました。
模擬授業(演習)でやったことは、授業をする上で、子どもたちを見る、そして子供達から見られることを考える基盤となりました。
英語の面接(演習)は、言わずもがなですが、より正確な英語表現をする上で、そのまま指導に還元できると思います。
振り返ってみるときりがないくらい、教師としての学びを得ることができた講座でした。」
「人間性、特に感性が変わりました。
今まで自分の見えるものが全てでした。そこで、先生の素晴らしい、着眼点や言葉のセンス、知性に感化されました。
語りも、同僚や生徒に褒められる事もあり、受講前では考えられないような学びがありました。」
教育とはどのようなものか、しっかり考え、(今も考え続けているところですが)
その時点での思いを形にできたのは良かったです。今もその基盤をもとに、変化させつつ核を作っています。
(高校生の)大学受験の面接指導で合格を勝ち取れていることです。
河野先生の真似事ですが・・・。想いがある生徒を合格に導けています。」
「1次対策で学んだ、楽しく身に付く学習法。
模擬授業で学んだ、大人をもわくわくさせる、科学的な授業の作り方。
面接で学んだ、ことばの奥深さ。
どれだけ自分に思いがあっても、それを伝えられる言葉がないと、それは思ってないのと同じこと。
私の良いところは褒めて自覚させてくれ、私の武器になるよう高めてくださいました。
逆に、私のまだまだな部分へは、はっきりと「それはダメ」河野先生は答えを教えてくれることはありませんでしたが、
私が自分で答えを見つけ出すためのたくさんのヒントをくださいました。
自分自身と向き合い出すことのできた答えは、私にとっての宝物です。
河野先生に教えていただいた「学ぶ楽しさ」を今度は教員として子供達に伝えていきたいです。」
どれも身に余る褒め言葉です。
この身に余る褒め言葉に恥じない指導を今も続けているのか?
褒めていただいたこの時の指導よりも、今の指導の方が、進化・発展しているのか?
これを問い続け、ネクスト・ステップに進むことが、教採受験者を合格に導き続けることだと信じています。
昨日の声に感謝しながら、明日の可能性に突き進んでいきます。
そのために、今日やるべきことは必ずやり遂げます。
では、また明日!!
広島教採塾
河野正夫