「僕が育ってきた昭和の日本社会では、重度の障害を抱えた人は施設などに入れて

 

保護することを良しとしてきました。実は、僕の兄にも重度の障害があり、

 

当時は施設に入所するしかなかったのですが、入所の際の兄の悲しみを目の当たりにし、

 

母も僕もずっと罪悪感を感じて生きてきました。

 

『アンメット』は、そんな僕の経験が原点になっているんです」

 

「年月が経ち、今では施設入所以外の福祉サービスも増え、共生可能な社会になりつつありますが、

 

いまだに、後遺症で苦しむ人や障害を抱えた人に無関心な人が多いと思います。

 

ドラマを見てくださる方には、『アンメット』に登場する患者さんのような方たちの存在を

 

知ってほしいですし、決して他人事だと思わずに、少しでも理解していただけたら。

 

そして、本当の意味で共生社会の大切さが伝わり、後遺症と闘う人やそのご家族、医療関係者の方に、

 

少しでも希望の光を注ぐことができたら幸いです」

 

作者の  子鹿氏のXには、原作で『アンメット』のタイトルを回収した、

 

ろうそくのシーンが固定されている。ろうそくの灯りは「心の灯」そのもの。

 

ドラマでは、これが杉咲&若葉竜也によって見事に再現され、鮮烈なラストとなった。

 

ミヤビは、事故の後遺症で過去2年間の記憶を失い、今日(きょう)のことも

 

明日(あした)には忘れてしまう。毎日日記をつづり、朝に読み返す日々。

 

丘陵セントラル病院で看護助手として働いていたが、アメリカ帰りの医師・三瓶(若葉)が赴任してきた

 

ことから、再び脳外科医としての道を歩みはじめた。

 

記憶障害の原因は、脳の中の「ノーマンズランド」(医学的に人がメスを入れてはならない領域)

 

にあり、手術を成功させるには「ノーマンズランドにある0.5ミリ以下の血管を2分で縫う」ことが

 

必要だと判明。  最終回では、倒れたミヤビに再発が認められ、脳梗塞が完成して命に関わるのも

 

時間の問題というなか、ついに意識もなくなり、チーム一丸となって手術へ。

 

一方で、ミヤビと三瓶の出会い、南アフリカでの現地で、感染症にかかった三瓶が、ミヤビに

 

看病してもらい、命を取り留めるという秘話も描かれた。

 

そしてラスト、手術を終えたミヤビが目を覚ました。ずっと手を握っていた三瓶が、

 

「わかりますか?」、ミヤビ「わかります」。その二言だけで、すっとエンディングを迎えた。

 

二人だけに通じるものの重さが伝わってきた。周りのキャストもみんな素晴らしかった

 

見応えがありました。