桜が満開で出歩きたい気分に水を差す本格的な雨降り。

既に雨は二日間降り続く。

所用もあり、今年はのんびり花見もできていない。

 

所用で駅まで行く道すがら駅前で満開の桜を見上げる。

気持ちの良い季節を味わうにはほど遠い。

 

だが、この時季になると想い出す曲が。

この曲を聴くと年甲斐もなく胸がキューンとしめつけられ息苦しくなる。なぜ…

 

さかのぼる事12年前。

単身で北海道(常駐は札幌)に赴任した時のこと。

道内各拠点の管理業務を任され重圧と共存しなければならない覚悟と

人生初めての一人暮らし。

 

掃除、洗濯、買い物、ご飯の支度など面倒!という話を聞くが俺は違った。

部屋の隅々がチリ埃がなく、綺麗に片付き、パリッと乾いた良い香りのする

衣類に袖を通すのは気持ち良く洗濯が面倒などと思ったことはない。

料理も敢えて苦手なものも買い込み自分で調理すれば

勿体ないから残さず食べるし栄養バランスも考えながらの料理は楽しい。

 

しかし、仕事の管理業務は私生活の様なわけにはゆかず慣れるまでに随分と時間が掛かった。

正確には慣れたのではなく、重圧に対する耐性が少しだけ身についたというべきか。

 

上の説明では自分自身で解決したように書いたが正確には助言、提案をしてくれた方が居た。

北海道勤務前の東京で知り合った。

社内で時々見かけてはいたが会話することはなかった。

喫煙所で偶々他愛もない話で盛り上がったのが会話をする様になったきっかけ。

 

感性鋭く頭の回転が速く、魅力的な方。

お互いの相談に乗ったり、乗ってもらったりと

東京勤務、北海道勤務の度に随分助けてもらったりもした。

 

俺が北海道勤務になり、しばらくしてその方は退職した。

退職してからもしばらくは連絡を取り合っていたが、

車で函館に移動中、会話したのが最後。

その後連絡は取り合っていない。

お互い連絡を取り合わなくなった理由は割愛させてもらう。

 

北海道赴任後、初めて函館に車移動した時、車のラジオから 槇原 敬之 『遠く遠く』が流れ

歌詞もメロディーも心に沁み、今の季節が歌詞の季節と重なる。

そして、車のラジオで『遠く遠く』を聴いた場所から、ほど近い場所が最後の会話となった。