こうやって、お芝居っていう生産できない仕事をしている以上、直視しないといけないことなのかもしれない。
何処のテレビを見ても、東日本大震災の映像が流れている。
震災が起きた時、俺は「てにどう祭」の稽古中だった。
このまま公演が中断するかもしれない。
いや、日本が大変なことになってるからそんなことよりも、今は被災者、そして周りにあるものを守りたいと思った。
公演が出来ると決まった時も、こんな時にやらせてもらえるんだから、命を燃やしてでも、公演を見に来てくれた人を温かい気持ちにしたいって思った。
俺は去年のこの時期、結構限界を感じていた。
体力的にも、精神的にも、リミットを振り切った状況が半年位続いてて、突然呼吸がしにくくなったり、何日も頭痛が治まらなかったり、生きるって大変だって思った。ホントに身体が壊れちゃうんじゃないかって思った。
そこでこの震災。
色々考えたよ。本当に。
俺がやってることはこれでいいのか?自分は保つのか?
そこで出た答えは、今一生懸命作品に向き合うことだった。
妥協をしない。
死にそうでも、辛くても、こんなに震災、放射能汚染、経済不安が続く辛い世の中にあっても、観たいと思う人に作品を届けたいと思うようになりました。
てにどう祭の「ラブリーラブリー」は一度停電の影響で中止になったけど、何とか千秋楽を迎えた。
その夜の打ち上げの時には高熱が出ていた。
ありがたいことに、無理をすると身体はセーブをかけてくれる。
数日寝込んだ。
その頃からかな?
震災に対して客観的に接するようになったのは…
起きたことは一生に一度あるかの大惨事。
だが、あまりに自分の無力さを痛感した。
俺は舞台があれば表現することがあれば、どんな力でも湧いてくる。
でも本当の意味でのチャリティというのは、そんか生半可なものじゃない。
葛藤を繰り返し、他の俳優達が被災地の為にと動く動きに付いていけなかった。
一年という日々を乗り越えて、今は自分を犠牲にしてなんて考えは捨てた。自分の限界は既に見えたから。だから限界に近い力を出しても回復するノウハウを鍛えている。
今の社会は確かに素晴らしい。
でもより良い社会を作るために、もっと変わらないといけないと思う。
いつかは限界が来る。でも限界と隣り合わせでないといい社会は作れないと思う。だったら限界を乗り越える発想の転換が必要だ。
新しく未来を切り開くのは、今生きている僕らなんだから。
皆で作ろうよ!!最高の未来を!!
一刻も早い被災地の復興を願って。
恭兵。