真夜中にこんばんは。橘ミラノです。

寝ようとした直前、面白そうなテレビに釘付け。

カズオ・イシグロさんの文学白熱教室。NHK。

カズオ・イシグロさんって誰?というと 日系イギリス人作家です。

私は映画「私を離さないで」で初めてその名前を知りました。

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映画は、相方が観に行きたいというのでどんな映画か全く知らずに

ただついて行って観ただけのですが、あまりに予備知識がなさすぎて

最初SF(サイエンス・フィクション)だと気がつくまでに相当時間がかかりました。。。

相方は最初に原作を読んで、それで映画版も観たいと思って行ったそうです。

相方はかなりの読書家で、常に本を読んでいます。

しかも、小説ばかり。実用書とか、自己啓発本とかのビジネス書の類を一切読まず。

私と間逆です。私は基本的にあまり本を読みませんし、読むとしても実用書ばかり。

相方はひたすら娯楽としての小説を読みふけります。月がふたご座だからですかね~

なぜイシグロさんが出ている番組に注目したかというと、

私は常々 小説とはなんて無駄なものか。という価値観で眺めていたから なんです。

こんなこと言うとその愛好家や生業とされている方々に猛反発されそうですが

非現実のファンタジーの世界に時間を費やして一体何になるの?と。

たしかに 小説を読んでいれば語彙も増えるし、想像力も豊かになります。

いいこともたくさんたーーくさんあります。

ネットやテレビのくだらない番組を見ているよりも、よほど有益だと思っています。

だけど、どうせ本を読むならなぜ実務や生活に役立つ本を読まないのかな?と不思議でした。

そういう意味で、時間の無駄 と考えていたのです。(ごめんなさい)

でも、世の中にはこうした小説家の方々で、それに人生を懸けていらっしゃる方も大勢おられるし

決して馬鹿にしているのではなく、むしろ尊敬に値する知識人だという目で見ていますが

カズオ・イシグロさんの小説とは何か?を語っていらっしゃるのを聞いて

なぜ小説なのか?なぜ小説というものが存在し、それを必要とする人々がいるのかを

なんとなく理解することができました。

個人の目を通して見た現実社会なんて 人や見方によっては世界が歪むというか

嘘、とまでは言えないにしても 記憶が曖昧になっている部分もあるし

脚色して 湾曲して 解釈され それがさらに輪をかけて他の人から人へと伝わっていく。

どれが真実なのか分からない。

歴史(史実)なんてそうですよね。(今 微妙な問題ですが・・・)

立場によって 英雄なのか、侵略者なのかがそもそも違ってきたり。

映画やテレビといった映像の世界では、そのイメージが固定化されるというか

その世界観を解釈した人による一方的な表現方法で

観ている側にビジュアルとして強烈に印象が植え付けられてしまうけど

小説という 言葉の世界では自由です。

読み手によって、自由に解釈でき、自由にイメージを広げられる。

現実社会だって、何が真実で何が真実でないかも分からないのに

他人の話を信用できるか?ってことのようです。

少なくともイシグロさんは、現実社会で起きている出来事すらも信用できないので

だったらいっそ フィクションの世界で思いっきり”嘘”をつきましょう、と。

嘘というと語弊がありますが、要は設定をガチガチにせずに

SFなので科学的な根拠とかそういったこともあまり神経質に忠実に再現しうようとせず

そもそも全てを架空の世界にしてしまうことによって

読む人すべてがフラットに物語りに入っていける。(冒頭での説明は必須らしいけど)

だから「えーここ事実と異なるよ。」とかいう野暮な突込みが入らないというか。

うーん 確かに。

自信ありますか?その目で見たことを”真実”として客観的に、事実を歪めることなく

誰が聞いても同じ情景が浮かび、同じ感想を抱けるように伝える自信が。

ないですよね。

受け取り方の自由度が高いほうが、かえってそれぞれの人にとっての、それが真実なのかもしれません。

うまくいえませんが、小説、とりわけフィクションは

芸術やスポーツと同じように、果てしなく広がる創造性や衝動、情熱、欲望のようなものを

現実社会で枠からはみ出ることなく、合法的に(?)発散させるために

必要な吐け口のようなものではないでしょうか。

何も金融ビジネスだけがお金を稼ぐ方法ではないし、それだけでは世界は成り立ちません。

芸術やスポーツ、文学や音楽といった 世間一般では「趣味・娯楽」にカテゴライズされる事柄であっても

社会の仕組みの中ではそういう人たちは絶対に必要なわけで。

そういえば、私の中にもトラウマというか抑圧のような押し込められた感情があって

私の父はお堅い銀行員だったのですが、舞台やコンサートといった

芸術方面にお金や時間をかけることには全否定!!でした。

「そんなことに無駄遣いして何の役に立つ?!だったら貯金しろ!!」

とよく叱られたものでした。

若い頃はそれにすごく反発していましたが、気がつくと私もその考え方に染まっていることに驚きました。

いつのまにか、小説なんて読んで何になるの?映画なんて時間の無駄よ。とか・・・
(ホントは好きなくせに。)

小説や映画の中にも、実体験では得られない知識や感情、歴史、考え方がたくさんあります。

単なる娯楽の消費のようでいて、ひそかに血肉となっていることに気がつかないでいました。

ビジネスの知識や、専門分野の知識だけで人生がうまくいくわけではありません。

人間としての豊かさを育み、イマジネーションの健全な消化方法として

あえてファンタジー小説を読む。書く。頭の中の空想を拡散させる。妄想を爆発させる。

でないと、行き場を失ったイマジネーションの塊が、現実社会で悪さをします。

つかなくていい嘘をつく。事実に尾ひれはひれつけて虚言する。

したくなる、んですよきっと。悪気は無くても。そこしか吐け口がないと。

これは占星術でも言える事であって、こんなことを真剣に考えてしまうのは

私がそうしたアスペクト(惑星同士の特別な角度)を持っているからだと思います。

私は、思考と言葉の水星が、空想と混乱、曖昧さの海王星と真正面から対立しているのです。

だからこんなに反応してしまうのかも。

気になったので、カズオ・イシグロさんのホロスコープも観てみました。



カズオ・イシグロ 1954年11月8日 長崎市生まれ



やはり。持ってました。水星・海王星コンジャンクション。(ぴったり重なること)

他にも、木星・天王星コンジャンクションという「突然大ブレイク」アスペクトや

太陽・土星コンジャンクションの「父親の影響が大きい」人生アスペクトが。

生まれた時間は不明ですが、想像だと夜中の11時くらいのお生まれではないかしら?と。

出生時間を勝手に23:00に設定したホロスコープ。(笑)完全に妄想の世界だ~~



生活を表す月が海外の部屋・9ハウスで、海外移住を。

自分のルーツや故郷をあらわすIC軸に、ぐらぐらしたぬかるみのような海王星と、

言葉をあらわす水星があって、自分の日本人としてのアイデンティティーが英語によって

どっちつかずで崩れてしまった経験など。

彼は5歳の時に海洋学者の父の仕事の関係でイギリスへ渡り、

15歳くらいまでには日本に帰れると思っていたので、英語はずっと使う言語ではない。

と思って英語も日本語も中途半端な状態だったようです。

でも、結局日本に帰ることはなかった。

水星逆行していますね。これも関係あるのかな?うん。あると思う。

この図はあくまでも私の想像上のホロスコープなので、実際は当たっていないかもしれませんが。

イシグロさんはかつてこんな言葉を残していたようです。


「もはや日本で暮らすことはできません。日本語を話せないし、慣習もわからないのですから。自分自身に日本人になれるかと問いかけて、無理だと気づきました。日本に来るとよく知っている場所のように思えます。しかし、あらゆる意味で滞在が最も難しい国でもあります。日本語が話せない。理解できそうで理解できない。感傷的には日本人であり続けたいと感じていたし、イギリス人になることは裏切りなのかもしれません。しかし、英国教育だけで育ったわたしは後戻りできなかったのです」。


真夜中の、長い長い空想ごっこでした。