【美術館】蛍の飛び交う季節です <作品紹介 ⑦> | 松花堂庭園・美術館のブログ

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午前中こそすこし青空がのぞいていましたが、1日を通してすっきりしないお天気ですね。いかにも梅雨らしい空模様で、ちょっと気分までどんよりとしてしまいそうです雨

 

しかしそんなお天気のなか、庭園は雨の水気をたっぷりと含んでみずみずしさを増しています。特に梅雨の時期に咲く花の代表格である紫陽花は、日を追うごとに生き生きとしているようです。

 

草庵「松花堂」の待合にある灯籠も、雨露を含んだ苔や青もみじとともに、いつもとは少し違う趣きとなっています。

 

これからしばらくはすっきりとしないお天気が続きそうですが、雨の日の庭園も味わい深い雰囲気となっています。暑い夏が来る前に、緑の深い庭園もぜひご堪能くださいきらきら

 

それでは、「平成29年初夏展 異国へのあこがれ」の作品紹介にまいりますウインク今回ご紹介するのは、「南山焼八幡八景鉄絵蓋付文碗」(松花堂美術館蔵)です。

 

八幡八景の「八景」とは、11世紀の中国で誕生した「瀟湘八景」がルーツとなっています。中国にある「瀟水」と「湘水」が合流するあたりの風景を8つ選んで絵画化された「瀟湘八景」は、山水画の画題として広く好まれてきました。「瀟湘八景」の画題は日本へも取り入れられ、異国に対して多くのあこがれを抱かせるとともに、日本の風景に当てはめられて「金沢八景」や「近江八景」などが誕生しました。

 

石清水八幡宮周辺の8つの景色が選ばれ、「八幡八景」が誕生したのは江戸時代のこと。選定し、詩歌を編集したのは柏村直條(かしむらなおえだ)という人物です。この南山焼にはその八景がそれぞれ描かれています。写真でご紹介しているのは、「放生川 蛍」です。

 

放生川は石清水八幡宮のある男山の麓を流れる川のことで、古より八幡の人々に愛されている川です。八幡にゆかりのある歌人・吉井勇も、放生川について歌を詠んでいます。この碗には、ゆるやかに流れる放生川の畔をふわふわと飛んでいる蛍が描かれています。

 

そろそろ蛍も飛び始める季節。今も昔も人々の心に残る、放生川に飛ぶ蛍をぜひ目にしたいところですねニコニコ

 

なおこの作品の隣には、同じく八幡八景を題材にした詩歌巻が展示されています。文字でも絵でも楽しめる八幡八景をご覧いただき、それが詠まれた場所がどんなところなのか実際に訪れてみる・・・というのも楽しいかもしれませんキラキラ