2024全日本綱引選手権大会 大会レポート       参加チームにみるコロナ明けの新展開!! | 京都府綱引連盟 公式ブログ

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京都から、「綱引」に関する情報を発信します。

2024全日本綱引選手権大会のBS放映は、

3月18日(月)の深夜24:20から

1時間あります!

 今年は、平日深夜にNHK・BS放映されますが、

放送内容は、従来の準決勝・決勝以外の試合も放送される

ようですので、1時間番組になっています。

 予約録画して、トップチームの試合ぶりをゆっくりお楽

しみ下さい。

 

2024全日本綱引選手権大会 大会レポート

参加チームにみるコロナ明けの新展開!!

 全日本綱引選手権大会は、あの世界的なコロナ感染症の

爆発的な感染状況が続き、2020年3月の全日本大会が直前

で中止となってから3年間開催中止となっていました。

 そして昨年2023年3月に再開できた大会では、やはり

綱引活動も停滞していた影響から、試合内容は、「現状

維持」レベルと感じました。そして上位入賞チームは、

男女とも近畿勢が独占する形となりました。

 ところが、今年の2024全日本綱引選手権大会では、少し

今までと違う状況になっていました。

 

全国的に、綱引戦術での共有化が進み、

トップチームもレベルアップが図られて

いる試合内容が見られました!

 前回報告した通り、コロナ感染拡大の時期には、綱引

大会が中止となる状況ですが、国内の地域ブロック内外

で、綱引チームの相互交流が図られてきました。当然

ながら、目標を失った選手がチームを離れたり、チーム

が存続できずに、活動停止となったチームもあります。

そして全日本大会で勝つための「新生チーム」の結成が

進みました。今大会のパンフレットのチーム紹介でも報告

されていますが、同一府県内だけでなく近隣ブロックから

も有望な選手を集めて、より質の高い練習で強いチームを

作りあげる綱引仲間がいます。

 この動きは、コロナ以前からありましたが、コロナ感染

の時期に加速したようです。ですから、単純に「新しい

チーム」が出場したと思うのは、勘違いかも知れません。

もちろん、本当に綱引新人選手が練習を重ねて、念願の

全日本大会に出場してきたチームもおられます。恐らく

彼らも、多くの先輩チームに指導を請い、相互交流を

図ってきたと思います。

 その結果、独特の綱引スタイルや戦法で挑む綱引チーム

は、ほとんど見られなくなりました。かつて、金沢レス

キュー隊のスタートからの速攻型や、進友会の低い持久

型など特徴のあるチームが姿を消してしまいました。

 現在では、スタート前から、少し低い姿勢で張りを保ち、

「プル」でも、すでに同じ綱引姿勢で、相手の状況を観察

したり、小さなステップで引き続けるスタイルが主流とな

りました。この動きは、新チームでもトップチームでも、

ほとんど一緒と思われます。

 そのため、この後の試合展開をどう裁くかが勝敗の分か

れ目となります。相当な練習や体力づくりをこなしてきた

選手でも、相手のプレッシャーを受けながら、長時間低い

姿勢を保つことは難しいようです。最も多いコーションが

「シッティング」(尻もち・座り込み状態)ですが、国内

のトップチームでも競技レーン上ではシッティングなしの

試合は少ないと思います。さらに、座り込み状態を続ける

「シッティング」を重ねたと判断され「2コーション」

となります。

 今大会では、シッティングからの復帰動作が見られない

「ローイング」(舟こぎ動作)も厳しくコーション対象と

なっているようです。そのため、相当引き込んで、4mの

ホワイトライン近くでも、「3コーション負け」判定する

ケースが見られました。従来の座り込みからの復帰動作で

「動いている」状況でも、コーションをとられるようです。

 

優勝チームが示す、より進んだ戦術とは!

 

女子優勝連覇の「マドラーズ大阪」は、最も強く引き続

けられる姿勢を保持して、相手の状況を観察しながら、決

して無理せず、引き続けるスキのない戦術を持っています。

もちろん「シッティング」も少ない安定感があります。

常に優勝するために、決勝戦までの試合展開が描かれて

いるようです。

 女子チームは、長時間の試合では持続力不足で、多く

の「シッティング」場面が見られます。そしてコーション

を重ねて「3コーション負け」となりやすいようです。

試合を想定した練習以上に、長時間重いものを引き続け

られるように、基礎的な引き方の練習が重要です。練習で

自信がつけば、相手の状況を冷静に観察して、無理なく

対応できる戦術も身につくはずです。「シッティング」の

姿勢からも、チーム全員で再び引くための動作を合わせ、

しっかり足元を固めて復帰します。

 男子初優勝の「綱鬼志」(コクシ)は、前回も紹介した

全国レベルの有望選手で結成した福井県の「新生チーム」

です。大会出場チームの中でも注目すべきチームでした。

準々決勝で、「京都消防ろぶすたぁ」を破ったところで、

京都府関係者としても、さらに関心が高まりました。

「綱鬼志」チームは、予選リーグ・決勝トーナメント戦の

試合をする中で、より進んだ戦術を身につけていると実感

させるチームです。まず極端な低い姿勢でなく、常に相手

の動きに応じて、パワーホールド(防御姿勢)と細かく

攻める動きを切り替えています。

特に「チームワーク」での動きに、進化を感じます。長時

間の試合展開では、「シッティング」状態になりますが、

8人で復帰することを意識しています。他のチームでは、

トッププラーなどが先に立ち上がる場面が多く見られて、

それに合わせて後ろの選手が復帰動作しています。しかし

後ろの選手が座り込み状態を続けることも多いのです。

「綱鬼志」は、その復帰動作に「チームワーク」が見られ、

ミドル・バックのポジションの複数の選手がまず立ち上が

り、前の選手達が引きながら復帰できる状況を作っていま

す。その結果、高い姿勢で先に引き戻すことができるため、

相手チームは復帰動作後も再び低い姿勢を取らざるを得な

い状況になっています。

 「シッティング」は、一人でも複数人でも、ひとつの

コーションと見なされます。つまりチーム全員で座り込ん

でも一つのコーションであり、「ローイング」せずに、

チーム全員で復帰動作すれば、追加のコーションをもらう

事はありませんし、相手より早く綱引姿勢に復帰すれば、

次の引き戻しがより確実に可能になります。

準優勝となった「BIWAKO同志会」も連覇を目指すトップ

チームですが、1本目は勝利したものの、試合展開の中で、

徐々に相手の戦術に飲まれてしまったように見えました。

シッティングの復帰動作からの最後の攻めが得意な「BIWA

KO同志会」が、復帰動作場面で敗れたことは意義深いと思

います。

綱引競技の奥深さを追究して体現できた「綱鬼志」チーム

に、感激しています。優勝おめでとうございます。

 今後の綱引競技の展開に、ひとつの解を示したといえる、

「チームワーク」による「シッティング」からの試合復帰

動作で、コーションを増やさず再び試合展開できる場面が

見られると期待されます。

 

 

上位入賞チームの勢力図にも変化が!

 今大会のパンフレットの表紙には、前年大会の優勝・

準優勝チームの姿が大きく掲載されています。いずれも

近畿勢です。

 しかし試合結果を見ると、男子では北信越ブロック・

福井県の「綱鬼志」が優勝し、準優勝は、近畿ブロック

・滋賀県から連覇を目指した「BIWAKO同志会」でした。

 そして3位には、昨年に続き近畿ブロック・兵庫県の

「神戸消防」が連続入賞し、新たに東北ブロックの活躍

を示す宮城県の「チーム南三陸」が入賞を果たしました。

 女子では、「マドラーズ大阪」が2019年大会以来の

3連覇を果たしました。準優勝には、2018年優勝した

北信越ブロック・福井県の「ファンキーガールズ」

久しぶりに強い姿を見せてくれました。そして特筆すべ

きは3位に北信越ブロックから2チームが入賞を果たし

たことです。「LR石川」は、昨年に引き続き3位と

なりました。また福井県の合同チームとして「ふくい

のいぢ」も3位となる活躍を示しました。

 全国的には、近畿勢、北陸勢、東北勢の活躍が目立ち

ました。今後も近隣ブロックでの相互交流が進むと考え

られ、全国レベルの新生チーム結成が増えるかも知れま

せん。しかし綱引連盟としては、競技人口を増やすべく、

新チームの結成を支援したり、指導者の派遣などの普及

活動が求められています。

 

2023年度の最後の大会レポートです。

今後も引き続き綱引情報を発信しますので、よろしく

お願いします。

 

 

        京都府綱引連盟