綱引競技における日本と世界の違い        (1)競技レーン関連 | 京都府綱引連盟 公式ブログ

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綱引競技における日本と世界の違い

 

 2020年9月になっても、新型コロナウィルスは、世界的な感染拡大が止まらない状況にあります。日本国内の感染状況がピークを過ぎたといっても、世界的にはまだ拡大しています。この時期に、綱引競技が

世界的な競技であることを再認識して頂きたく、さらに日本だけの様々な取り決めがあることも知って頂きたいと考えています。

 2020年2月に世界インドア綱引選手権大会がアイルランドで開催され、日本代表として京都消防ろぶすたぁチームが出場しました。京都府綱引連盟からも3名が帯同して、改めて世界の綱引との違いを感じたところです。今思えば、コロナウィルス感染拡大の段階で、世界大会が奇跡的に開催できたこと、そこで貴重な経験を得たことは本当に幸いでした。

(1)競技レーンの違い

 まず、綱引レーンの材質や設営方法から大きく違います。それは、綱引競技の歴史から見れば理解しやすいかも知れません。

(夏季オリンピック:綱引競技)

近代オリンピックの陸上競技の一つとして、第2回(1900年)パリ大会から第7回(1920年)アントワープ大会まで、「アウトドア」の綱引競技が開催されました。

(アウトドア綱引世界大会より)

 「アウトドア」綱引競技では、競技エリアに、かかとに金属プレートのついた革靴で、スタート前に地面を削って足固めした上で引き始めます。現在でも、ヨーロッパでは「アウトドア」が盛んに行われています。

(上)2020世界インドア綱引選手権大会より  (下)世界大会の競技レーン

「インドア」綱引競技は、その後に始められたため、体育館のフロアに「アウトドア」の競技エリアに近い感覚が求められ、屋内用シューズでも滑らない材質のゴムマットを合板の上に張り付けて、木枠で両側を

押さえる形になっています。フロアとの接地面は、パンチカーペット仕上げとなって、綱引レーン自体は置き敷されていますので、フロアを

痛めることはありません。しかし、滑り止め加工されたゴムマットは、滑りにくい分、摩耗も早く、マットの交換時期は比較的短いようです。

(上)209全日本綱引選手権大会 男子決勝戦  (下)綱引レーンマット写真

 日本では、明治時代に「運動会」の種目として綱引きが普及しましたが、スポーツ競技としての綱引は、1980年の日本綱引連盟の設立以降となり、「インドア」を中心に広まりました。1989年まで、競技レーンはパンチカーペット敷が採用され、1990年から現行のアシックス製のウレタンラバーマットになりました。体育館のフロアに近い感触がある専用マットは、フロア面に下地テープと両面テープを使って貼り付けます。摩耗は少ないようですが、少し硬質のため、部分的な変形があると、波打ったりして戻らないことがあります。専用のマット巻取器と共に、現在生産されていないようです。高価なため、購入も難しく、変形などの劣化が進んでも、そのまま使用しています。

(アシックス製綱引シューズ)

このレーンでは、滑りやすいことがあり、それに適合させる専用の綱引シューズが開発されています。しかし店頭販売はなく、受注生産方式ですぐには手に入りません。また、靴底の汚れを落として滑りにくくするシューズクリーナーも使用することになります。滑りにくいことを求めて、溶剤入りのクリーナーを使用してレーンを汚す事態を引き起こし現在は、連盟公認のシューズクリーナーの製品しか使用できません。

今まで綱引競技者にとって常識と思っていたことですが、世界基準と大きく違う綱引レーンについて、レーンマットの仕様変更も検討すべき時期に来ていると考えます。綱引競技の普及面から、さらに同じ競技レーン(土俵)で戦うべきとの思いもあります。決して現在の世界基準の仕様がベストではありませんので、日本の知恵を結集させて、新たな世界基準のマットの誕生を望みます。

 滑りにくい綱引マットなら、普通の屋内用シューズでよく、シューズクリーナーも必要ありません。実際に国際ルールでは、靴底の清掃は、乾いたタオルのみ使用でき、クリーナーの持ち込みすら許されません。

また、この滑りにくいレーンであれば、今までのような極端な後傾した

防御姿勢にならずに、積極的なけん引姿勢に転換しやすくなります。

(上)日本・京都チーム(下)オランダチーム

今回の世界綱引選手権大会では、京都チームは国内最強と言われながら、活躍できなかった原因は、日本基準のマットに最適な綱引姿勢から世界基準にうまく適合できなかったことにあります。帰国した京都チームからは、世界基準のマットで練習できるようにしてほしいという意見も聞いています。今後の綱引競技の普及発展を見据えて、今こそ

競技レーンの仕様変更が必要な時期だと考えます。

 

次回は、綱引競技における日本と世界の違いについて、

その(2)滑り止め関連の考察を行います。服装、靴底、手指などに

分けて掲載する予定です。

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