日本の再生と「冠」付ければ、、!


どさくさ紛れのやりたい放題!




京都政経調査会-経済産業省1


 東日本大震災の復興予算は、なぜ被災地の復興と関係がない使われ方が目立つのか。「何でもあり」のカラクリを解く鍵は、政府の復興基本方針に仕込まれた二つの文言にある。一つ目は「日本経済の再生なくして被災地の真の復興はない」。この考え方の下「被災地に一体不可分として緊急に実施すべき施策」の実行を認めた。二つの文言を錦の御旗に、被災地と全国との関連づけを「作文」した不適切事業が次々に予算化された。 



京都政経調査会-経済産業省2


 「2011年度からの5年で計19兆円を震災の復興に充てる」との復興基本方針は2011年7月に決まった。その根拠は一カ月前に制定された東日本大震災復興基本法だ。


 賛成多数で可決された基本法は、「単なる災害復旧にとどまらない活力ある日本の再生を視野に入れる」と規定。基本方針はこの理念を具体化した。


 方針に盛り込まれた「日本経済の再生」の文言は政治サイドの要求で入った、とされる。震災直後は被災地に加え観光産業など全国の企業が海外からの風評被害に遭っていた。文言にはそれらも含めた日本経済を支える「狙い」があり、幅広い事業の予算化に道を開く形になった。こうして流れは整った。



京都政経調査会-経済産業省3


 「霞が関の人間は旗が立てば、わーっと群がる。頭を使い、財務省の目の届かないところでうまく事業を滑り込ませるのはわれわれの習い性だ」。ある官僚は復興予算の使い方をこう解説する。


 実際、予算化に向けて事業の精査が行き届いたとは言い難い。昨年を振り返り、ある財務省幹部は「当時は復興を優先させるため、足りないより過分であった方がいいと査定をあえて甘くした」と認める。



京都政経調査会-経済産業省4


 食料の保管庫建設など、全国の防災・減災のための政策が「全国防災事業」として予算計上を認められた点も、「被災地以外に予算を使う道を開いた」との批判が多い。


 ただ、全国防災事業には別の評価もある。一兆円に上る事業の財源を裏打ちするのは、復興増税に含まれた個人住民税への増税。住民税は地方税で、全国の自治体が執行する裁量を持つ。このため被災地以外の地元の防災事業に使って新たな震災に備えることは、あながち無駄とも言い切れない。


 だが、復興と震災対策を名目に「予算の獲得合戦」に明け暮れる姿勢は厳に正すべきだ。「被災地の復興が最優先」という政府の方針に異論はない。問題は予算の使い方に国民の信頼が得られていない点にある。「被災地に寄り添う」との誓いを空虚にしないためにも、復興予算の精査が求められる。