胸部はケロイドの好発部位です。
ニキビが出来た後に徐々に皮膚が赤く盛り上がってきたそうです。
典型的な胸部のケロイドです。
写真のように「蝶ネクタイ」の形を呈しています。
皮膚科でケナコルト(ステロイド注射)やドレニゾンテープ(ステロイドテープ)による治療を受けていたそうですが、改善しなかったようです。
カウンセリングを十分に行ない、リスクやデメリットをお話しした上で手術療法を行いました。
典型的なケロイドです
原因は「ニキビ」「やけど」「ピアスの穴開け」「虫刺され」など様々ですが、体質的な要素が大きいと言われています。
特に胸部は直ぐ下が胸骨という骨で皮膚のテンションが高い部位なのでケロイドが良くできる場所です。
切除したケロイド組織
ほぼ100%、コラーゲンで出来ています。
縫合直後の状態
Z形成と言って縫合線をストレートではなく、Z形にする事によって傷口にかかる緊張を分散させています。
この操作によって再発予防が期待出来ます。
再発予防として傷周囲にボトックスを16単位注入しました。
ボトックスによって傷周囲の筋肉を弛緩させて、結果的に皮膚緊張の軽減を行いました。
1週間後の抜糸直後
赤みだけが目立ちます。
この後はステロイドテープでケロイドの再発予防に努めます。
約1ヶ月後の状態
所々傷の赤みが残っています。
約3ヶ月後の状態
まだ白い線状の瘢痕とはなっていません。
赤みや軽度の盛り上がりが見られます。
ステロイドテープの継続をお願いして、2ヶ月後に検診予定です。
治療前よりは格段に改善していますが、再発の可能性が全く無い訳ではありません。
このようなケロイドは原則的には保険診療で受けられるのですが、「診察や検査のために何度も通うのが難しい」「平日の通院は仕事上無理だ」「放射線治療が怖い」などの理由で当院のような自費診療のクリニックを選択される患者様もいらっしゃいます。
大学病院などではケロイドの再発予防に放射線照射を行う事が多くあります。
放射線照射によるリスク(発がん性)も皆無ではありません。
この方はモニターですので金銭的にも安く済んでいます。