京フィル第213回定期公演「春潮は音楽 羅針儀は指揮者」リレーコメント no.8 | 京都フィルハーモニー室内合奏団のブログ

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1972年に結成。2022年で創立50周年を迎える。
一人一人がソリストの個性派揃いのプロの合奏団。

みなさまこんにちは。
京フィル打楽器奏者の越川雅之です。

今週末の定期公演にむけたリレーコメントも2週目に入り、楽員にも順番が回ってきました。今回は5曲のうち2曲しか出番がありませんが、少しでも興味を持っていただき、お越しいただく方が1人でも増えるように書いてみたいと思います。

山田和男/シンフォニエッタ(小交響曲)「名人」。
山田和男という作曲者は、1972年(奇しくも京フィルが誕生したのと同じ年)から1976年まで京都市交響楽団(京響)の常任指揮者だった山田一雄先生です。その前後にも芸術顧問や指揮者として京響に長く関わっておられたので「ヤマカズさん」として京都の方にはお馴染みかと思います。本名は「和雄」ですが「和男」と名乗っておられた1956年の作品です。
1912年のお生まれなのですが、同じ年にショルティ、チェリビダッケ、ヴァント、マルケビッチ、ザンデルリンク…と名だたる指揮者がたくさん生まれています。
(朝比奈隆先生は4年前の1908年生まれ)

ヤマカズさんといえば、躍動的に情熱的に指揮しすぎて舞台から転落した、とか、そのまま振りながら指揮台に這い登った、とか、勢い余って身体が1回転して客席に向いてしまった、とか、運命と田園を振り間違えた、とか、ユニークなエピソードをたくさんお持ちです。尾ヒレがついて大袈裟になっているものもあるのでしょうが、調べれば調べるほど、この人に深く興味を持っている自分に気づきました。ヤマカズさんがお亡くなりになったのが1991年、僕が田舎から京都に出てきた年。残念ながら生で拝聴する機会には恵まれませんでしたが、改めて残っているものにできるだけたくさん触れてみたいと思っています。

この「名人」という作品、1956年の初演以来62年ぶりの再演とのことで、今はまだスコアの中だけでしか聴くことができません。ご自身だけにしか解読できいないような書き方の部分もあり、なかなか苦労していますが、お人柄が溢れている作品に聴こえます。

こんな魅力的な人の魅力的な作品を62年ぶりに我々が音にします。
我々も楽しみにしています。
みなさまもどうぞお楽しみに!

もう1曲、鈴木さんの新曲もありますが、そちらは4月3日の作曲者ご本人のコメントをご参照ください。
https://ameblo.jp/kyophil-c-o/page-6.html


(ホントは2曲だけじゃないかもしれないんですが今はまだナイショです笑)