京フィル室内楽コンサートシリーズVol.65リレーコメントno,4 | 京都フィルハーモニー室内合奏団のブログ

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1972年に結成。2022年で創立50周年を迎える。
一人一人がソリストの個性派揃いのプロの合奏団。

こんにちは!ヴァイオリンの岩本祐果です。


『ドラマチック・ロシア』と題された今回の室内楽シリーズ、私が演奏するのはプロコフィエフの五重奏曲Op.39という作品です。

五重奏ということで5人の奏者で演奏します。


オーボエ、クラリネット、ヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバス

(2/12リハーサル風景)

 

の五重奏です。とても変わった編成ですね。

なぜかというと・・・

この作品はもともと、ロシアのあるバレエ団に依頼され、バレエ音楽『空中ブランコ』として作曲されました。

そのバレエ団は小規模な旅一座で、音楽は上記の5人からなる小編成の楽団が担当していたそうです。その編成に合わせて作曲されたため、このような変わった編成になったのですね。

その後いくつかの楽章が再編され、室内楽作品となりました。


もともとのタイトル『空中ブランコ』のとおり、この作品の舞台はサーカスです。

道化の楽しさや幻想的な美しさを持ちつつも、しかし一方でどこかグロテスクで不穏であるというような、サーカスの持っている様々な世界観が次々と顔を出します。全6楽章、20分超の作品ですが、どの楽章もそれぞれ違う表情を持っているため、最後まで飽きることがありません。


そしてサーカスなだけに、かなりアクロバティックな技術が要求されます。

プロコフィエフ自身が「いくつか難しいリズムがある」と言っていたらしいのですが、正直申しましていくつかどころではありません。

この作品、京フィルでは私が入団する以前に一度取り上げているそうです。

今回私は初めて演奏しますが、私以外のメンバーが演奏するのは二度目なんだとか。

一度 目が終わったときはもう二度とやらん!と思うほど大変だった、と皆さん仰られていましたが、またこのようにプログラミングされたということは、それほど魅力的な作品ということなのでしょう。

5人の奏者の丁々発止のやり取りにぜひご期待ください。

岩本 祐果