京フィル室内楽コンサートシリーズVol.65リレーコメントno,2 | 京都フィルハーモニー室内合奏団のブログ

京都フィルハーモニー室内合奏団のブログ

1972年に結成。2022年で創立50周年を迎える。
一人一人がソリストの個性派揃いのプロの合奏団。

皆さん、こんにちは。チェロの佐藤響です。京フィルは現在、博多に来ています(拙者執筆時)。京都より冷え込みは穏やかで、幾分過ごしやすいです。

さて今日は、2月15日 室内楽コンサートシリーズ vol.65「ドラマチック・ロシア」で演奏されるバラキレフ の八重奏について取り上げてみようと思います。

まずは作曲者であるM.A.バラキレフ(1837-1910)ですが、今日では「ロシア5人組」のまとめ役としての認知度のほうが高いかもしれません。「ロシア5人組」というのは19世紀後半にロシアの同世代の作曲者らによって結成された集団で、メンバーには“展覧会の絵”で知られるムソルグスキー、“韃靼人の踊り”を作曲したボロディン、“熊蜂の飛行”や“シェヘラザード”など代表作を残したリムスキー=コルサコフ、そしてバラキレフ 、キュイの5人から成りました。

同時代のロシアの作曲家、チャイコフスキーらが流麗でロマンティックな旋律や、西欧的で洗練されたオーケストレーションを用いて作曲していた一方で、「ロシア5人組」は西欧的ではない、またはプロフェッショナルでは無いけれどもロシア国民音楽の創作 というものを目指していたようです。事実ボロディンは科学者でキュイは軍人でしたし、いわゆる“職業作曲家”の集まりではありませんでした。

そんな5人のリーダーであったバラキレフですが、本人はなかなかの遅筆であったと同時に、作曲の中断や改作も頻繁に繰り返されていました。今回演奏される八重奏も12分ほどの長さですが、作曲されたのは1850-1856年 となっていますから、中断、もしくは改訂がなされたのかもしれません。

 

ん?1850年というと、バラキレフは当時13,4歳ではありませんか!!完成させたのもまだ10代の頃 ということになります。早熟であっただけでなく、やはり天賦の才を持ち合わせていたことが窺い知れます。

八重奏とありますが、ピアノ、フルート、オーボエ、ホルン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの8つの楽器で演奏されます。ピアノのきらびやかでソリスティックに駆け巡るさま、各楽器の音色を活かし旋律を絡ませた重層的な響き。。。

 

皆さん、これは必聴に値しますよ。

では、会場でお待ちしております。