スーパーの果物売り場の前を通ると
『買って~…私を買ってぇ~……』
と、リンゴやらみかんから声が聞こえるのよ。
と母は言う。
で、その日買う予定ではなかった果物を買ってしまうのだという。
母は昔から果物類が大好きで、私の物心が着いた時から家には必ず何かしらの果物が置いてあった。
中でもグレープフルーツは大好物な為に、毎年春頃~夏にかけて、
時にはグレープフルーツを箱買いしていた母である。
グレープフルーツは腎臓に余り良くないと聞いて、1、2年前から母は買うのを止めてしまったが。
逆に私はと言えば、滅多に果物を買うことはない。
果物が食べたければ実家に行って貰ってくるのだ。
何となく果物=贅沢品、と思ってしまう私はケチなのか、それとも本当に貧しいのかよく分からないが。
長女も言う。
『果物が常に家にあるって金持ちじゃない?』
と。
そこら辺は人によって価値観が違うので何とも言えないが、
母が浪費家である。という事は、実はここつい最近になって聞いた話である。
昔母は、
『家は貧乏だから!』
と言うのが口癖で、実際にお菓子やら玩具やら滅多に買ってくれることは無く、
私はどうしても
『リカちゃんハウス』が欲しくてたまらなかったのだが、遂にそれを買ってくれる事はなかった。
せめて『リカちゃん人形』を買って欲しいと言っても、何故かリカちゃんは与えられず、買ってくれたのはリカちゃんのお友達の『いずみちゃん』であった。(謎過ぎる)
母が『浪費家』になったのは、それでも私が成人してからのようだ。
父が昔、株が儲かったと言って、母に10万円をくれたと言う。
早速母はその10万円を握りしめ、ダイエー(今はもう無い)に走り、上から下まで高い服からバッグ、靴に至るまで一気に購入したと言う。
『結局一回も着なかったけど何処行っちゃったんだろう』
なんと言う勿体無い話(笑)
父が入院した時に親戚が二百万円をポン、と出してくれた時は(親戚は金持ちなのだ)
その時も母は早速デパートに走りあれやこれやと散財したと言う。
最近でもスーパーでちょっと良いお菓子を見て買おうとすれば一緒にいたお友達から
『Kさん衝動買いはダメよ!』
と注意された母である。
母は子供時代非常に貧しかったと話す。
時代が時代だから皆貧しかったのでは…と思わなくもないが…
その頃の反動なのだろうか。
私の祖父は(教師)、貰った給料を握りしめ、本屋に走り、それをほとんど『本』に変えてしまっていたと言う。
ああ、そうか!
それこそその散財癖は『遺伝』なんじゃないの!?(笑)
かくなる私も子供の頃は貰ったお小遣いをマンガだの、匂い付き消しゴムだの、そんなもんの為にあっという間に使い果たしていたが。
『遺伝なんか当てにならん』
と思っていたが、やっぱり『遺伝』てあるんだろう。
『あんたには聞こえない?買って~…私を買って~…って声が』
と問われたが。
いや、
さすがに聞こえないから!怖いから!!(笑)