4月7日は成龍の誕生日!「拳精」を観た | ビバ!アジアン映画好きな日々

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去る4/7は、あの成龍(ジャッキー・チェン)の誕生日。

 

という事で、フォロワーさん開催のジャッキー会にていくつかの作品の一つとして「拳精」が流れたので今回はそれをレビューします。

 

この頃の成龍作品は大体見てるんですが、まだ醒拳と笑拳がまだだったかな。

 

 

ストーリー

 

少林寺で寺男として生活しているイーロン(演:成龍)は悪戯好きでしょうもない事をやっては館長のフィミン大師(演:李桐春)他に怒られて罰を受ける毎日だった。

 

そんなある日、門外不出である「七殺拳」の秘伝書が盗まれてしまう。

七殺拳はその残虐性から習得を禁じられていた拳法で、これが悪党に知れ渡ると武林の世界が混乱するとフィミンは懸念する。

本来は「七殺拳」に対抗できる拳法「五獣拳」も作られていたが、100年ほど前に秘伝書が無くなってしまい、相伝できなくなっていた。

 

フィミンは己を律する為、100日間独房に入り座禅を組んで苦行に入り、副館長のウェイクン(演:李海龍)が館長代行として指揮をする事に。

 

盗まれた「七殺拳」の秘伝書はロク・チン(演:田俊(ジェームス・ティエン))という武当派の内の一派の男の元に渡っていた。

手渡したのはロクの父親で、七殺拳をロクに習得させることで力で武林のトップに収まり武林の世界を征服しようと企んでいた。

 

それからしばらくして少林寺が大きな衝撃と地震に見舞われ、赤い髪の幽霊が現れるようになる。

 

僧侶や他の寺男が怯える中、書庫の番人をしていたイーロンも幽霊を見かけるが、臆することなく追い詰める。

幽霊の正体は龍・蛇・虎・鶴・豹からなる妖精で、100年前に紛失されたとする五獣拳の秘伝書に潜んでいたのだが、先の衝撃で外の世界に出て来たのだった。

イーロンは妖精の正体を理解すると弟子入りし、伝説の五獣拳を習い始める。

 

その頃、七殺拳を習得したロクが実力行使で武林で名のあるトップ候補を次々と始末していった。

 

七殺拳の書が盗まれて100日経とうとしたある日、武当派の総帥であるセク(演:方秀一)は娘のフェン(演:武文秀)を伴い七殺拳を使った殺人が起こっている事から調査のために少林寺へやってきた。

 

フェンの案内役を命じられたイーロンだったが、一悶着を起こし習って間もない五獣拳を使うもフェンに返り討ちに遭ってしまった。

妖精たちに技と心得を叩き直され翌日リターンマッチを挑みフェンに勝つもののやりすぎて泣き出されてしまう。

 

フェンはセクの元に向かうが、セクは何者かによって殺されてしまっていた。

 

独房から出て来たフィミンはその傷跡からウェイウー(演:李文泰)が得意とする金剛拳と断定、拘束する。

 

その夜、復讐心からウェイウーのいる独房を襲撃したフェンだったが、ウェイクンに止められ、金剛拳の傷跡は細工されたもので真犯人が別にいると示唆。

このままではウェイウーは真犯人に謀殺されてしまうと考えたウェイクンはフェンとウェイウーに少林寺から出るよう指示する。

 

更に翌朝。

 

経蔵の主持であるウェイシン(演:王光裕)が何者かに殺され、更にウェイウーが脱走した事が明るみになりフィミンはウェイウー捕縛を十八羅漢に命じる。

 

ウェイウーの性格を知るイーロンは何かあると感じ、引き続き五獣拳習得のため猛特訓を繰り返す。

 

そしてある日、イーロンはウェイウーを捕まえるためにフィミンに下山を願い出る。

 

少林寺の掟として十八羅漢を倒さなければならず、イーロンは十八羅漢と対峙。

十八羅漢を倒して試練をクリアしたイーロンは赦しを得てウェイウーを探すために下山する。

 

果たしてイーロンはウェイウーを探して冤罪を証明し、少林寺の危機を救うことが出来るのか―

 

 

 

本作は監督の羅維が成龍を他社に貸し出して製作された「蛇拳」「酔拳」の後、戻ってきてから製作された作品でそれまでは羅維の成龍作品は「少林寺木人拳」や「蛇鶴八拳」みたいに割とシリアスな作風だったのが本作はコメディ調な作品になっているのが特徴。

 

…ではあるんだが、そこは慣れていないからなのか同じコメディ路線の功夫映画ではあるものの「蛇拳」や「酔拳」に比べると今一何かが足りない印象を受けた。

 

「蛇拳」や「酔拳」は主人公である成龍が強くなる理由付け、そして最後に戦う相手との因縁を上手く描いていた。

「蛇拳」で言えば不当な扱いで虐められていたのを師匠と出会い強さを磨き、師匠と因縁を持つ相手が最後のボスとして立ちはだかる。

「酔拳」は偶然出会った殺し屋にコテンパンにされて逆境の中立ち上がるのに修行に身を入れるようになり、最終的に因縁を持つ殺し屋と戦う事になる。

 

本作は特にイーロンとロクの間に因縁めいた繋がりが無く、ウェイウーを追ったついでで戦うので今一戦う理由が薄いのよね。

だから功夫映画の盛り上がりともいえる終盤の戦いが今一盛り上がらない。

しかもあれだけ七殺拳へ対抗できるのが五獣拳と言われているにもかかわらず、しっかり五獣拳を習得しておいて普通に苦戦しているので対抗策とは一体…になる。

 

それをさらに拍車をかけたのが本作の真犯人であり、ロクの父親でもあったフィミン大師とのラストバトル。

連戦とは言えイーロンを追い込み、妖精の助けで何とか勝つという内容なので「五獣拳とは…」になる。

 

良い見方をすると五獣拳も少林寺で管理している拳法の一つであくまで七殺拳へのカウンターだから特別強いって訳でもない、ともいえる。

 

補足すると日本語吹替版だとラストバトルに「チャイナ・ガール」が流れるので吹替も相まって別の燃える要素はあるのよね。

 

裏を返せばロクの存在もそこまでインパクトが無いんだよな。

所謂親父の望みをかなえる道具としての息子って存在なんだが、七殺拳はあっさり習得するし、途中の他流派はさくさく倒していくし、実力こそ正義なのはわかるが本筋に絡まないといけない所で、サブシナリオ的に進められるのであんまり脅威に感じられないのがあるのよな。

武当派総帥のセクはフィミンに倒されてしまうし、結果的にロクは酔拳や蛇拳の黄正利みたいに凶悪な強さを持つ拳士にも見えないのがネック。

 

ただ、特定の師匠を持たずに書の精霊に教えてもらう設定は他では見当たらないオリジナリティがあってよかった。

 

破天荒な存在に教えてもらうっていうのは「少林拳王子(少林傳人)」の破戒僧3人組みたいなのは割とあるが、精霊そのものというのは珍しく、ラストバトルでの助っ人も目視できない存在が助けに入るというのはギミックとしては面白い。

(前述の通り、あれだけ修行したのに単独で勝てないという流れをどう捉えるかで変わるが)

 

本来であれば身内や仲間が協力してくれても良い状況を「少林寺の僧は世俗のモノと争えない」という縛りを設けることで安易に参加できないようにしているのは理由付けとしていい落としどころだったな。

(じゃあなんで武林世界で纏める位置にいるんだよって疑念が出てくるが)

 

 

妖精の存在や助っ人、それに絡むコメディシーンは良かったが、ストーリーが纏まって無いからかちょっと取っ散らかり気味で中途半端な作品って印象でした。