4年ほど前の記事になるが、以前ユル・ブリンナー絡みで観た「ウエストワールド」の続編である本作を最近観る機会があったので観てみた。
前作はロボット物のSFホラーな作品だったが、本作はガラッと作風が変わっていたのでびっくりした次第。
そんな作品の話ははてさて。
ストーリー
巨大アミューズメント・パーク「デロス」。
アメリカ西部開拓時代、中世ヨーロッパ、帝政ローマの3つのエリアからなるテーマパークで本物そっくりのロボットを配置する事で限りなくリアルな体験が楽しめる夢の世界だった。
しかし、西部開拓時代のガンスリンガーが突如暴れ出した事を切欠に各エリアのロボット達が反乱、利用客が50人、技術者は100人近い犠牲者を出す大惨事となりデロスは封鎖されていた。
それから2年。
デロス事件の記事を書いた新聞記者のチャック(演:ピーター・フォンダ)はフレンチー(演:エド・ゲルダード)と名乗る男からデロスについての特ダネを持ち掛けられる。
待ち合わせ場所に向かうと、フレンチーは何者かによって致命傷を負わされ、チャックにあるモノを渡して息絶えた。
会社に戻ったチャックは開かれていたデロス絡みの会議に出席。
デロスの現オーナー、ダフィー(演:アーサー・ヒル)は15億ドルと言う巨額の投資を行い、プログラムとロボットを新たに作り直して2か月前に再オープンしたものの、評判は今一。
そこでダフィーはIMCネットワークに安全ということを拡散してもらおうと独占取材の提案に来ていた。
この会議で白羽の矢が立ったのがチャックと番組の視聴者数5,500万人を誇る人気キャスターのトレイシー(演:ブライス・ダナー)だった。
二人は早速デロスへと向かうが、飛行機に同乗している客が軍の将校や日本の成金からバラエティ番組の優勝者とあまりに豪華すぎるとチャックは怪しむ。
到着したデロスは再開前と比べて3倍の面積に拡張され、未来世界という新エリアも開かれていた。
チャックとトレイシーは未来世界へ向かい、近未来のレクリエーションを楽しむ。
その後ダフィーに連れられ、コントロールルームへと向かう。
ここでは各エリアのロボットを管理しているのだが、その異様さに何かを感じ取るチャック。
現場を統括するシュナイダー博士(演:ジョン・ライアン)はここにいる管制官は全員ロボットだという。
前回起きた事故の原因は人間にあったと言い、感情のないロボットがコントロールする事でミスは起こらないという。
続いてダフィーに案内されたのはその事故が起きた場所であり、現在は閉鎖されている西部開拓時代の区画だった。
チャックはある部屋から地下に続く階段を見つけその先を調べるも特に何もなかった。
その頃、シュナイダーはロボット達にある指示を出していた。
来援している客の食事に睡眠薬を混ぜ、寝ている間にある部屋へ移動させ血液を採取し、様々な角度から写真を撮り、そして定刻に部屋へ戻していた。
地下に何かあると感じたチャックは夜更けにトレイシーと共に部屋を抜け出し地下通路へと進む。
道中、誤動作で暴れ出したロボットから逃げてる途中で技師のハリー(演:スチュアート・マーゴリン)に助けられる。
デロス開園当初から技師として働いているハリーにチャックは取材をしようと試みるも、騒ぎを聞いて駆け付けたシュナイダーに咎められその場は離れることに。
部屋に戻ったチャックは今回の行き過ぎた行動を嗜めるトレイシーに対し、以前フレンチーが持っていた資料を取り出す。
この資料には世界各国の要人がリスト化されており、いずれもデロスに招待されていた。
翌日、ダフィーとシュナイダーの相手をトレイシーに任せ、チャックは再びハリーに接触する。
フレンチーの事を聞いたハリーはチャックを連れてある部屋の入り口に向かう。
ここは定期的に来るロボット達しか入れない秘密の部屋で、パスワードと何かをもってしか入れないようになっていた。
ハリーはロボットの特性から目の波長を呼んでいるのではと推測、早速ロボットを一体捕獲して顔のパーツを外し二人は秘密の部屋に戻る。
予想通りパスワードとロボットの目がカギとなっており、部屋に入った3人は驚愕する。
そこは客とそっくりのクローン体が作られていて、その中にはチャックとトレイシーのクローン体も存在していた。
今、デロスでは途方もない計画がテーマパークの陰に隠れて進められていたのであった―
長期にわたる連続シリーズだと急な作風変化もあり得るが、前作はAI任せの世界観がエラーによりロボットが一斉蜂起する恐怖を描いていたのに対して、本作は人を信じられない博士がロボットとクローンを使って世界の乗っ取りを企てるミステリー仕立てであり、前作とは方向性が全然違う作品となっている。
ミステリーと言えば謎解き要素とか何とかと引き込まれるタイプの作品かと言われればそう言う訳でもなく、所々日本刀を携帯している日本人金持ちや髷のヅラ被って法被と刀で武装したロボットが出てきて奇天烈感満載なシーンがでてくる。
そう言う意味では前作みたいな最終的にはガンスリンガーロボットに追い回される緊張感みたいなものは一切ない。
基本的にはピーター・フォンダ演じる主人公がデロスランドに探りを入れて裏に潜む企みを暴く、のが骨子。
それだけなんだが、前述のような奇天烈なシーンや調査の合間に挟まれる博士の陰謀が視聴者にネタバラシされるので結果的に冗長に感じるんだよな。
一応終盤では唐突なタイミングで主人公二人のクローンが襲い掛かってくるんだが、本当に唐突過ぎて「何故今頃!?」な感じなんだよね。
折角中盤で存在を匂わせていたんだから知らん間に入れ替わって…みたいな事も出来たと思うんだけど。
そう言えばピーター・フォンダってキャノンボールにカメオで出てたのね。知らなんだ…
先にも言った通り本作は陰謀絡みでそれも良くあるロボットを使えば理想の世界を作ることが出来る!という科学者が起こすベタベタな世界征服ネタなところで調査が冗長だからぶっちゃけダレる。
それなりに各国の要人を招待してクローンと挿げ替える…という壮大な話ではあるんだが、冒頭のクイズ優勝者なんてどこでつかうんだよって思ったり。
ちなみに前作で猛威を振るったガンスリンガーは西部劇の世界が使えなくなっているので出てこない分、トレイシーの夢の中のヒーローででている。
ガンスリンガーを演じるのはもちろんユル・ブリンナー。
そこまでして出さなあかんのかレベルではあるんだが。
トータルで妙な勢いはある作品ではあるんだが、前作に比べると少々カルトっぽい方向に走ってしまってるので前作みたいな感覚で観ると微妙かも知れない。
単独で観る分にはその妙な勢いがスパイスになってるので面白くもあるんだけど。
不穏な前作に比べ、本作は一応ハッピーエンドなので安心しては観られる作品かな。