不思議とグイグイ引っ張られる魅力はある「ウエストワールド」 | ビバ!アジアン映画好きな日々

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ちょっと前にレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットが共演している「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」を見に行った影響で、西部劇をちょこちょこ見るようになり、その流れで「荒野の七人」を観てユル・ブリンナーを知ったので、本作を観てみたというのが今回の大筋(オイ)

ゲストだけど存在感大きいユル・ブリンナー

ユル・ブリンナーの作品としては「殺しのライセンス」から始まって本作が三作目なんだが、ゲスト出演の話題が気になったので見てみた次第です。

 

ストーリー

とある砂漠に建設された巨大テーマパーク「デロス」。

そこはアメリカ西部開拓時代、中世ヨーロッパ、帝政ローマからなる3つのエリアに分かれており、1日の滞在費が1000ドルという破格の値段ではあったが、人間はおろか動物までもが本物ソックリのロボットで最新技術を用いて運用され、限りなくリアルな体験が可能な正に夢の世界だった。

 

男二人でテーマパーク

そこに以前にもデロスを利用したことがあるジョン・ブレイン(演:ジェームズ・ブローリン)は、嫁に不倫され傷心のピーター・マーティン(演:リチャード・ベンジャミン)を気晴らしさせるためにデロスに連れてきた。

 

なぜここを選んだのかは謎

二人は西部開拓時代のウエストワールドに滞在する事に。

 

荒野の七人のクリスではありません

最初は気乗りしなかったピーターだが、アトラクションとして酒場で因縁をかけてきたガンスリンガー(演:ユル・ブリンナー)と決闘して倒した事から西部劇のヒーローになり切り、女性とのロマンスやガンマンとの決闘を楽しむ。

 

現場では次々とバグが

その頃、制御室では度々ロボットのプログラムにバグが現れ、毎日調整しても日増しにバグが伝染病のごとく増えていく状態だった。

もしバグが酷くなってしまった場合、人に危害を加える可能性があるとしてデロスの閉鎖を技術者は訴えるが、運営の上層部はこれを拒否。

 

翌日、技術者の懸念は現実のものとなる。

中世のエリアでは必ず客の誘いに乗るように調整された女性ロボットが誘いに乗らず断り、ウエストワールドではロボットのガラガラ蛇がジョンに噛みつき怪我をさせたのだった。

 

このままではより大きなクレームにつながるとして最終的には新しい客は取らない方向で話がまとまる。

 

しかし更に翌日。

二日酔いのジョンとピーターはここにきて二度返り討ちにしたガンスリンガーが再三勝負を仕掛けてきた。

 

油断してたら殺された

同じ顔を3度も観ているのでうんざりしたものの勝負を受けるジョン。

だがここでガンスリンガーによってジョンは射殺されてしまう。

 

本来、テーマパークの銃は体温感知装置が付け加えられ、生き物には撃てない仕様となっているのだが、その装置が働いていなかった。

 

身の危険を感じたピーターは馬に飛び乗ってその場を逃げ出すが、ガンスリンガーも後を追う。

 

この情報を知った制御室はロボットを止めようとするも中央コンピューターはフリーズして機能せず、予備電源により最長12時間動き回るという。

 

振り切って逃げれば行けたと思うが…

しかも中世エリアで客を騎士が刺殺したのを皮切りに次々と各エリアのロボットが暴れて客を襲い始めた。

 

夢の世界から一転してロボットが暴れる地獄と化したテーマパーク。

果たしてピーターはこの地獄から脱出できるのだろうか―

 

 

 

この作品は後に「ジュラシックパーク」を生み出した作家マイケル・クライトンが監督した作品であり、閉鎖空間でのパニック作品としてジュラシックパークと似通った部分が多く感じられた。

 

割と有名な調整シーン

ただ、やはり年代的なところでロボットたちが本格的に暴れだすまでが丁寧すぎたのか冗長に感じたなぁ。

確かにロボット達が反乱を起こすという下地を作るために毎日バグが出ているというシーンは必要ではあるが、主人公たちのシーンはそんなにいるかなぁって感じなんだよね。

不倫された話もそこまで掘り下げられたわけでもないし。

 

反乱にしても唐突に襲い掛かってくるし大事なことは研究員の言葉で終わってしまうので凄さがあんまり伝わってこないんだな。

これがロボットたちがショートするとか中枢コンピューターが変な音を立てるとかいれたらもうちっとわかりやすかったかも。

 

で、パニックになるのは似通っているが、実際不気味ではあったが少々ホラーテイストなだけであんまり緊迫感とかなかった。

ロボットが襲い掛かってくるという作品では後発になってしまうが、「ターミネーター」においてT-800が恐ろしい存在だったのは警官隊の一斉射撃にもひるまず、次々と返り討ちにし、車にひかれても何されてもサラを追いかけてくるしぶとさが不気味さを助長していたわけだ。

 

明らかに殺しにかかる笑顔

不敵な笑みを見せて追いかけてくるユル・ブリンナーはまぁまぁ不気味ではあったが…

 

対して、本作のガンスリンガーは単純に主人公が逃げ回っているだけなので今一凄さが伝わらないんだよね。

研究員から聴力がすごいとは言われても「だからなんやねん」にしかならんのが…

(一応申し訳程度に狙撃能力の高さを示唆するような射撃は見せるが)

 

これでピーターが必死の抵抗を行っても止まらず追いかけてくるのであれば緊張感が出てきたのかもだろうが、とにかく逃げるだけなのと後述のガンスリンガーの脆さを見ると余計顕著に思える。

体温感知装置が付いているとはいえロボットを倒せる銃を持っていたわけだし反撃をしようと思えば可能だったはず。

(もしかしたらコンピューターウィルスみたいなので人間が使用する銃が使えなくなっていたのかもしれんが)

 

まぁここら辺は素人が銃を抜いても速攻で返り討ちにあうだろうからシナリオ的にちょっと難しかったのかもだが。

 

火だるまになるロボット

高性能なロボットのわりに耐久力もそんなに高くないようで水を飲ませればショートするし、火をつければ油でも塗ったのかという勢いで燃えまくるし、その気になれば人類側の逆襲ってそうそう難しくないんじゃ…って思った。

 

ただ、主人公はただの弁護士という設定は戦闘能力を持たない一般市民がいかにして逃げ続けられるかという点で良い素材だっただけに残念。

また、予算的に厳しかったのか敵となるはずのロボットもガンスリンガー除いてほとんど出てこなかったので寂しい。

これはまぁ、劇中で予備バッテリーが最長12時間持つと言われていたので、予備バッテリーがもたずに動きを止める個体もあったんだと思えばそこまで外れた話ではない。

 

が、結局そういった内容が重なった結果ゲストが妙に豪華なだけの作品とも言えるんだよね…

これがあったからこそのジュラシックパークと考えられれば意義はあったのだろうが、作品としては普通って感じだなぁ。