今回は久々に平成ライダーの劇場版のレビュー。
丁度ジオウも終わってゼロワンが放映されたので一つの機会として。
本作は所謂春先の現行ライダーと一作前のライダーの共演作品。
で、ジオウの放送が13~4話辺りの頃だったかな?
もちろん、当時は速攻で観に行きましたとも、ええ。
ストーリー
受験を控えた高校生、常磐ソウゴ(演:奥野壮)の目の前にタイムマジーンに乗り込んだ明光院ゲイツ(演:押田岳)とツクヨミ(演:大幡しえり)が現れる。
しかし、ソウゴはタイムマジーンに驚いて逃げ出してしまう。
その時、目の前にアナザーデンライナーが墜落、中からアナザー電王が出現し、ソウゴに襲い掛かる。
一方、アナザーデンライナーから一人の子供が逃げ出すが、突如突風に巻き上げられる。
その場に居合わせた桐生戦兎(演:犬飼貴丈)と万丈龍我(演:赤楚衛二)はその子供シンゴ(演:斎藤汰鷹)を助けるが、直後に風の中からアナザーWが現れる。
戦兎と万丈はビルドとクローズに変身し応戦する。
また、アナザー電王に襲われたソウゴは懐から落としたライドウォッチを手にすることで自身が仮面ライダージオウであることを思い出し、ジオウに変身、ゲイツと共にアナザー電王相手に戦い始める。
そんな中、ビルド達のところにグリス、ローグが加勢に現れる。
世界が生まれ変わったことでかつての戦いの記憶を失っていたはずの猿渡一海(演:武田航平)と氷室幻徳(演:水上剣星)が何故か変身して現れたのだった。
アナザー電王もアナザーWも形勢が悪くなり姿をくらますが、その途端にツクヨミと幻徳の記憶が失われてしまいソウゴや戦兎を認識できなくなってしまう。
普通の高校生として生活を始めたツクヨミをソウゴ達は距離を置きながら張り込み続けるがそこに一人の男子生徒、久永アタル(演:福崎那由他)が駆け寄りサインを貰う。
しかし本来未来人であるツクヨミにゲイツ以外の知人がいるはずのない現状に違和感を感じたゲイツはソウゴにアタルの調査を依頼し、自身は引き続きツクヨミの調査を続ける。
その頃、世界が生まれ変わったことを一海に説明する万丈だったが、万丈の説明では一海に納得させられるだけの説明ができずにいた。
するとそこに石動美空(演:高田夏帆)の姿があった。
本来であれば美空もかつての記憶は存在しないはずなのに万丈との再会を喜ぶもつかの間、幻徳同様記憶が失われてしまった。
所変わって、シンゴを追っていた戦兎は同じくシンゴを追っていたタイムジャッカーのディード(演:大東駿介)と遭遇する。
戦兎はビルドに変身しようとするもタイムジャッカーの能力で動きを止められ、ディードに洗脳されてしまう。
ディードから逃げ出したシンゴはアタルと合流していたソウゴと出会い、ソウゴはまず住処のクジゴジ堂へと向かうものの、そこは喫茶店モジモジ堂となっており、ツクヨミを追っていたゲイツも受験生として猛勉強していて、ライダーの記憶を失っていた。
仕方なしにソウゴはシンゴを家に送ることを約束し、道中平成ライダーの話で花を咲かせる。
そこに万丈と一海も合流するが、マシンビルダーが無人で現れ、戦兎に何かあったと感じた万丈とソウゴはシンゴたちを一海に任せマシンビルダーの後を追う。
向かった先にディードと洗脳された戦兎がおり、戦兎はビルドに変身してソウゴ達に襲い掛かる。
ソウゴ達も変身して応戦するが、その途中一瞬の隙を突きビルドはディードに引き金を引く。
戦兎は洗脳された振りをして情報の収集をしていたのだった。
しかしディードはあっさり撤退し、これ自体が罠だったと看破する戦兎。
事実、この前後でシンゴはアナザーWとアナザー電王にさらわれ、シンゴを守っていた一海は怪我を負ってしまう。
一海は万丈に任せ、アタルの家に向かった二人はアタルから衝撃の事実を聞く。
今まで起こったことはすべて自分の妄想であり、捕まったシンゴに危害は及ばないと。
仮面ライダーはテレビの中の産物であり、存在しないものだと。
事の起こりはある日自分の体にイマジンが取り付いた。
イマジンは取り付いた人間の願いを叶え、過去に飛ぶ習性を持つ。
そのイマジン、フータロス(声:滝藤賢一)はアタルの願いを叶えるといい、アタルは本物のライダーに会うという願いを伝える。
かくしてライダーが存在する世界と存在しない世界が入り混じった世界になっていたのだった。
これ以上は情報が聞き出せないと感じた戦兎とソウゴはアタルの家から出るが、外では謎の建物が現れ中から屑ヤミーやインベス、マスカレイドドーパンド等が大量に出現し手当たり次第に周りを破壊し始める。
ディードの狙いはシンゴを利用してライダーが存在しない世界を新たに作り出し支配することにあった。
自身の存在意義に揺らぐソウゴだったが、戦兎の叱咤を受けライダーに変身、二人はディードを止めるために本拠地に突入するのだがー
改めてDVD化されたので見ながらストーリーを書き出してみたが結構情報の交差が多く雑多でわかりにくいな…
シンプルに言えば新たなタイムジャッカーが平成ライダーが生まれる前の少年を使って、ライダーが存在しない世界を作るって話なんだが、メタ的な要素も組み込んでいるせいか割とわかりにくい印象。
これはこの映画に限らず、次作の単独作品「仮面ライダージオウ Over Quartzer」やテレビ本編でも言えるんだが、ジオウは全体的に何がしたかったのかがわからない、というか迷走していた感じをものすごく受けた。
とりあえずはまず本作の感想だが、残念ながら作品としては凡作。
既に書いている通りだが、メタ的な話を入れるのは良いんだが、時間移動も入ってややこしくなっている上、どうも盛り上がれないんだよなぁ。
ジオウとビルドがうまくかみ合ってないような感じがするんだよね。
事実、ビルドとエグゼイドの春映画「仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー」は上手いこと他の平成ライダーも絡んで非常に盛り上がった。
本作でのそういう盛り上げどころってのは所謂ラストバトルでクウガからの平成ライダーが集結する場面なんだけど、出方が人々の心にライダーがいる限り何度でも現れるってやつなのよね。
これって、言っちゃあれだが「超ウルトラ8兄弟」と同じなんだよな。
これはウルトラマンメビウスが迷い込んだ世界がウルトラマンという存在がテレビの中だけの存在であり、最終的には普通の人として暮らしていたハヤタ達がウルトラマンとしての心と記憶を受けて変身するんだが、それに似ている。
だからと言ってパクリだとか二番煎じと言うつもりはないんだが、それを覆せるだけのモノがなかったんだよね。
で、人々の心にライダーが存在しているから平成ライダーが助けに来る…正直ありきたりすぎてなぁ。
しかもこれはこれで同じことをOver Quartzerでもやってるからまじめにネタが尽きたのかジオウという設定を持て余したのかどっちかなのかとも思える。
敵にしてもそうで、ディードはテレビ本編で登場するタイムジャッカーと同じ存在なんだが、テレビ本編でのタイムジャッカーが全く出てこないのでつながりもわからないし、ぽっと出の敵が大仰に暴れてもいまいち感情移入できないというかなんというか。
ライダーの歴史をつぶすというジオウオリジナルの前提を理解していないとまず意味が解らないんだよね。
キーマンとなるアタル、シンゴ兄弟は電王ネタを付随することによってジオウに絡めているんだけどそれだけになんか浮くんだよなぁ…
結局アナザーWも正体不明だったし。
とはいえ、本作は本作でライダー映画でも指折りのインパクトを与えたのも事実。
それはディードの本拠地でソウゴ、ゲイツ、アタルが危機に陥った時アナザー電王共々時の列車のホームに飛ばされた場面。
そこに現れた仮面ライダー電王が次々とフォームを切り替えて、最後はロッドフォームでアナザー電王を倒すわけだが、そこでアタルに手を差し伸べて話しかけたのはなんと野上良太郎(演:佐藤健)!
まさかのサプライズで劇場ではどよめきが起こったのは今でも覚えている。
あの一連の流れは電王ファンの心を鷲掴みにした事だろう。
こういうサプライズに味を占めたのか、Over Quartzerではあの男が現れるわけだが…
逆に言えばそこだけなんだよな。
一応ビルド勢も出てくるんだが今一無理やり感が拭えない(特に幻徳)。
一海を見たアタルが中の人ネタとしてキバの音也を出してきたのも「あ、やっぱり」くらいだし。
だったら、マンネリと言われても音也のイクサは出すべきだったんじゃないかなと思ったり。
一部平成ライダーの声は新録で担当もしてくれているが別に長台詞を言うわけでなし、ソウゴ達と絡むわけでもなし、そこまではテンション上がらなかった。
エグゼイド&ゴーストの鎧武みたいに声だけでも絡んでくれたらだいぶ違うんだけどね。
というのを引きずってOver Quartzerを観て本編も観たんだが、結局ソウゴは何がしたかったのよって話になるんだよな。
最高最善の魔王は良いんだが、結局ライダーが無い世界を作り出したわけだし、最終回を謳ったOver Quartzerは全くつながらなくなったし。
あれはあれで龍騎のTV本編と劇場版みたいにifエンディングといわれりゃそこまでなんだが、なんだかなぁ…
で、ゼロワンが始まったわけだけどやはり基本的に過去のライダーありきなところがあるジオウに比べると見やすい感じはする。
果たして令和のライダーはどうなるのか、見続けていきたいね。