タイトルがタイトルだけに損している「GODZILLA(1998年版)」 | ビバ!アジアン映画好きな日々

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丁度去年の夏の時期に「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」が日本で公開され、2014年の「ゴジラ」から続くモンスターバースの世界に圧倒され、続く形の「ゴジラvsコング(原題)」が今控えている状態だが、アメリカ版のゴジラを話題にするにあたって必ずぶち当たるのが1998年に公開されたローランド・エメリッヒが監督した本作だ。

 

当時は「ゴジラvsデストロイア」が公開され、平成ゴジラシリーズにピリオドがついた後での満を持してのアメリカ版ゴジラ。

ハリウッドの技術力で生まれたゴジラに予告を含め期待をしたファンは多かった訳だが…

 

ストーリー

ある日南太平洋で日本の漁船が沈没する事故が発生する。

何か巨大な生物らしき存在に船体がやられ、船は引き裂かれ沈没した。

 

翌日、ロシアのチェルノブイリで放射能の生物に対する影響の研究を行っていた生物学者ニック・タトプロス(演:マシュー・ブロデリック)は急遽、アメリカ国務省より要請が来て、パナマへと向かう事に。

 

その頃、先の日本漁船の沈没事故から唯一生還した日本人がとある病院で治療を受けていたが、そこにフランス対外治安総局のフィリップ・ローシェ(演:ジャン・レノ)が現れ尋問を開始。

意識が朦朧としている日本人から「ゴジラ」という単語が出たのみだった。

 

パナマへ向かったニックは古生物学者のエルシー・チャップマン博士(演:ヴィッキー・ルイス)やメンデル・クレイブン博士(演:マルコム・ダネア)に引き合わせられ、被災地の調査チームへと組み込まれる。

 

凡そ生物学者が関わる案件ではなかったが、被災地に残されていた足跡や座礁したタンカーの傷跡からニックは自分が呼ばれた理由を理解する。

ニックは残された物証から暴れまわっている謎の生物はポリネシア近海で行っていた核実験により巨大化した生物と仮説を立て、同じく調査の為に身分を偽って被災地に入ったフィリップも被害状況から一連の被害は日本人が語ったゴジラが行ったものと確証する。

 

後日、アメリカはニューヨークのマンハッタンに謎の巨大生物が現れ、街中を蹂躙し、人々を恐怖に陥れていた。

アメリカ軍から連絡を受けたニック達は遅れてニューヨークへ入り、アレキサンダー・ヒックス大佐(演:ケヴィン・ダン)の下で巨大生物の対策を練ることに。

 

軍はニックの案で広場におびただしい数の魚を敷き詰めて餌を巻くことで巨大生物を誘き寄せようとする。

 

匂いに釣られ現れた巨大生物に対し、待機していた軍は武器の一斉射を行うが、兵士の銃火器ではかすり傷程度しか負わせられず、戦車砲や戦闘ヘリの赤外線探知ミサイルは巨大生物のスピードと体温の低さによって全く当たらず、周りのビル群に流れ弾が当たり被害を拡大させ、更に巨大生物に逃げられてしまう。

 

ニックは跡地から巨大生物の肉片を採取し、思う所があって妊娠検査薬を使って調べると巨大生物は単為生殖を行っている可能性があると断定する。

 

そんなニックの所に大学時代の元恋人であり、ジャーナリスト見習のオードリー・ティモンズ(演:マリア・ピティロ)が現れ、昔話に花を咲かせる。

しかし、オードリーがニックの下に現れたのは巨大生物がニューヨークを暴れまわった後、知人であるニックがアメリカ軍と同行している映像をニュースで見かけ、特ダネを手に入れるためだった。

オードリーはニックの目を盗んでニックの研究成果やフランスから送られてきた被害者のビデオ等を盗み出す。

 

結果、オードリーのネタは上司に横取りされる形でニュースとして広がってしまい、機密情報を漏洩した事を責められたニックは対策チームから追い出されてしまう。

 

そんなニックの前にフィリップが現れる。

フィリップも遅れてニューヨークに入り、アメリカ軍の情報を集めながら調査を行っていた。

フィリップはニックの調査情報を信じチームに迎え入れ、巨大生物「ゴジラ」を仕留めるために行動を開始。

マディソン・スクエア・ガーデンにゴジラの巣がある事を突き止めたニック達は現地へと向かう。

 

一方、ネタを横取りされた上に自身の軽率な行動でニックに迷惑をかけて落ち込んでいたオードリーは同僚カメラマンのビクター・パロッティ(演:ハンク・アザリア)からニックがフランス人と行動を共にしている連絡を受け、ビクターと共に遅れてマディソン・スクエア・ガーデンに乗り込む。

 

広場に辿り着いたニック達は複数の卵がある事を確認するが、ガーデン内の照明を照らすと200個もの卵が産みつけられていた。

しかも卵は次々に孵化を始め、更には周辺に散らばっている魚の匂いが染みついていたニック達は孵ったばかりの幼体ゴジラから捕食対象として狙われてしまうー

 

 

 

 

まぁ、ここまで書かずとも本作を観た人の口から出る言葉は「こんなのゴジラじゃない」ってのが殆どじゃないかな。

声は本家に近く、まだ予告の段階ではより恐竜に近いシルエットというだけで希望は持てていたんだが、最終的な結果としてはゴールデンラズベリー賞で最低リメイク賞を取っているというのがすべてを物語っているだろう。

 

そりゃそれまでの比較対象が昭和シリーズや平成シリーズのゴジラであり、ミサイル8発食らって致命傷を負うゴジラってのは想像もつかない。

 

やはりイメージとしては人類の通常兵器では屁とも思わないくらいに強固で人類ではどうしようもない存在、それがゴジラであり怪獣なんだよね。

そうなると、ハリウッドに限らず海外の怪獣映画は日本の特撮をベースにした韓国の「大怪獣ヨンガリ」とかは別として「キング・コング」や「原子怪獣現る」等は最終的には人の手で倒される存在であり、ウィキペディアでの富山省吾氏の言葉を借りるなら、「人間に倒されるもの、人間が乗り越える標的」となる訳で、この根本を理解したうえで見直すとガラッと見え方が変わってくる。

 

ベースとなるのはもちろん「ゴジラ('54)」であり、冒頭の襲われる漁船や足跡のシーンなどはもろに使われているし、街を蹂躙しているのある意味同じ。

ただし、決定的に違うのはオリジナルのゴジラは当時の人類には打つ手がなく、唯一対応できるのが研究の結果偶然生み出されたオキシジェンデストロイヤーのみだったのに対し、本作は被害を受けつつも情報を集め、その都度足掻いているんだよね。

ニック達やメディア側の動きやラストの脱出劇も相まって、結果的にそれが「ジュラシックパーク」みたいなモンスターパニック映画になっちゃったわけだが。

 

なので、その視点で見れば決して悪くはないし、なんならテンポだけでいえば後発の「ゴジラ(2014)」より良い。

 

次回作に繋げる予定だった幼生ゴジラもあれはあれでアリだろう。

過去作は1体ポッキリだけど、他の動物とかだと複数個体を産み落とすことはままあるし、そういう意味では自然だしね。

 

もっとも、興行成績は良かったものの評判が悪かったせいで続編が創れず、アニメに引き継がれてしまったわけだが、あちらでは放射熱線も出ていたのでそれなりに不満点の解消は聞き入れられたんだと思う。

 

日本におけるゴジラシリーズでもハブられることが多い本作だが、一度ゴジラと言う概念を捨てて観ると結構面白いので、かつての「大怪獣バラン」や「ドゴラ」みたいに東宝特撮の一作品みたいなスタンスで観ると新たな面白さが見つかる、そんな作品だな。