ダリの妻・ガラ
U=NEXTで見た「ウェルカム トゥ ダリ」。
奇行で知られる画家のダリとその妻にスポットをあて、
ダリの奇想天外な人生を描いた伝記映画。
ダリを演じるのは、「ガンジー」の名優ベン・キングズレー。
ダリにとって不可欠な存在である妻のガラを演じるのは
「ハンナ・アーレント」のバルバラ・スコバ。
どこかで見た女優さんだと思い、はっと気がついた。
↓ハンナ・アーレントのバルバラ・スコバ。
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ガラは、ダリのミューズとして様々な作品に登場する。
私は、ダリ自身より、妻のガラの方に興味を惹かれる。
ちょっと長いが、ガラについてまとめてみる。(興味ない方はスルーして)
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ガラは、ダリと出会ったときは、詩人ポール・エリュアールの妻だった。
ロシア出身のユダヤ系貴族ガラ・ダリ・デ・プブル侯爵夫人。
ガラの一家はモスクワで快適に暮らし、知識人たちの仲間にも加わったのだが、ガラは17歳の時に結核が疑われる病にかかり、
スイスのサナトリウム(結核療養所)に送られる。
ここで出会ったのが、ポール・エリュアールだ。2人は1917年に結婚。
結婚後、2人はパリでシュールレアリスムの作家たちと交流を深めていくが、
ガラは、次第に彼らのミューズになっていく。
ドイツ人画家マックス・エルンストは彼女の肖像画を何点も描き、
フランスのシュールレアリスム文学を先導したレネ・クルベルは親しい友人。
写真家マン・レイのモデルにもなった。
アンドレ・ブルトンや映画監督のルイス・ブニュエルとも恋愛関係にあったらしい。
と、芸術史に残る多くの著名人と恋愛したガラ。
写真で見る限る美人とはいえないが、特別な引力があったのだろう。
1929年、エリュアールとともにスペインを旅したガラは、
新進芸術家として頭角を現しつつあったサルバドール・ダリを訪ねる。
ダリに夢中になったガラは、夫と娘を捨て、フランス国境に近い漁村である
カダケス郊外の漁師小屋にいたダリのもとに走った。
ダリとガラが結ばれたのは34年。ダリは半世紀にわたり、ペンや絵筆で何百点ものガラの肖像画を描いたのである。
「彼女は、時に聖母のようであり、官能的でもあり、陰鬱(いんうつ)でナゾに満ちた多様な顔を持つ女性だった」と解説している本もある。
ダリは、2人の強い絆を示すように「ガラ・サルバドール・ダリ」のサインを入れた作品も残すようになる。
彼女は画商への売り込みが巧みな実業家でもあった。
「おカネに貪欲(どんよく)だった」とみる人もいた。
ファッション関係者との交流も深く、
クリスチャン・ディオールはガラのためにドレスを製作し、
エルザ・スキャパレッリがガラのためにこしらえたハイヒールの靴の形をした有名な帽子もある。
興味がつきない女性だが、「ユダヤ人」であったというのも
一つのキーワードかもしれない。